パラレル

□鈍感師弟の恋愛方程式
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自分の将来のことについてや進学先の学校のことは、自分の将来を決めるようなものでとても大切なことだ。
その為子供は時に親と意見があわず仲違いすることもある。



それは此処、沢田家でも例外ではなく。

いつもであれば平和で何処かのほほんとしている家庭内では、
いつになく硬く強張った顔をした親子がテーブル越しに睨み合っていた。








「絶対嫌だ!」
「いいや、絶対に此処へ進学するんだ!」

通常であれば温和な顔で常に優しげな笑顔を絶やさない少年が眦を吊り上げ目の前の父親に言えば、
普段であれば息子に対しでれでれと下がっている筈の眼を厳しくした父親が息子を見据えていた。

嘗てない程の張り詰めた空気である。
苛立ったように何度目かわからない否を少年は訴える。

「無理に決まってるだろ!」
「パパが推薦するから大丈夫だ!」
「理事長の癖に職権乱用するなよ!」
「この無駄にある権力を今使わずしていつ使うんだ!?」
「もっと世の為人の為になる全うなことに使え!
じゃなくて!」

学力とかそういう次元の前に!





「男の俺が女子高に進学できるわけないだろ!?」





ていうかしたくないんだよッ!と青筋を浮かべた息子に力強く頷いた父親はぐっと親指を突き出した。

「ツッ君の眩んじゃう様な可愛さならパパが保証するっ!」
「意味わかんないよ!
眼科ついでに頭取り替えて貰って来い馬鹿親父!!」




少年は今までで一番デカイ声で怒鳴って近くにあった台拭きを投げつけた。


































【 鈍感師弟の恋愛方程式 】






































「何処の世界に息子を進んで女子高に通わせようとする腐った思考の親がいるんだよ!?」
「此処に!」

ビシッと手を上げてお約束のことを言うので今度はティッシュ箱を投げつけた。

「痛いよツっ君!
ドメスティックバイオレンス!?」
「痛いのはアンタの発言全てだッ!」

体を捩じらせてやめてえと泣く父親家光にツナは怒る。
まあ息子を女子高へ通わせようとしているのだから無理はないだろう。

「何でこんなこと言い始めたんだよ!?」
いつも突飛な行動ばかりする父親を生暖かい眼で眺めていたツナでも、こんな理不尽且つ意味不明なことを言われたのは初めてだった。
流石に温和な息子も怒る。

「だってツッ君モテモテじゃん!」
「俺が一体いつ!?」

話に脈絡がなくても関係ないようなことでも自分でも初めて聞いた言葉が全く理解できなかったので反応してしまう。
俺がいつモテモテに!?寧ろ教えて欲しいくらいなんだけど!?

「この間妙に爽やかで格好良い野球少年連れて来たじゃないか!」
「山本のこと?友達だよ」
「俺のことお父様とか呼ぶいけすかないハーフの美少年は!?」
「(・・・美少年?)・・・あぁ、もしかして獄寺君のこと?
ちょっと怖くて苦手なトコもあるけど友達だよ」
「一緒に晩御飯食べた金髪のイタリア美青年は!?」
「ディーノさん?
学校の先輩だって言っただろ」
「玄関から入ってきてないのにいつの間にかツッ君部屋にいてツッ君にチューしようとしてた学ランは!?」
「あれも学校の先輩で、転んだ俺を支えてくれてただけだって言ったじゃん。
部屋にいたのは窓から入っただけだし(まあ普通じゃないけど)」
「寝てるツッ君に夜這いかけようとしてた変な頭の男は!?」
「・・・・・・・・・・・・・・・髪型には心辺りはある奴だけどその事実は知らなかったよ知らせてくれてありがとう。
でもそいつは只の知り合いだし」

あとで釘刺しとかなきゃとツナは小さく呟いた後、眉を顰めた。

「父さん言ったの全員男だよ?
やっぱ俺全然モテてないんじゃん」
「だからぁッ、男の子なのに眼がくりっとしてて髪の毛がふわっふわで小柄で華奢で可愛すぎなツッ君は男にモテモテじゃないか!!」
「・・・・・・・・・・・」

そんなに息子のコンプレックスの傷跡広げて何が楽しいのかと、いい加減ツナもキレそうになる。
それに気付かない家光は涙眼で訴える。

「パパは心配で心配で並盛高校なんてケダモノとか野獣の巣窟の男子校になんてとても行かせられないし、共学も同じ!
こうなったら男のいない女子高に通って貰うしかないじゃないか!!」
「どんな結論の出し方!?
俺が男にモテるってなんだよ!?あんたそれでも父親!?」
「父親だから心配なんじゃないか!」
「なんか話噛み合ってないしいらないばっか心配するな!
大体俺の友達にも先輩にもそんな変態はいない!」

自信ない知り合いは例外だけどもッと怒って友達を庇う(?)ツナに、
ますます家光はやっぱりそういう関係なんだー!わー俺のつっくんが悪魔共に汚されたー!と騒ぎ、
いっぺん頭冷やしてこい!酷いパパはツッ君の心配してるだけなのにーッ!などという遣り取りが朝から夜まで続き、

最終的にツナは家光から共学になら行ってもいいと言わせることに成功した。
恐らく家出するが効いたのだろう。

しかしそれにはやっかいな、
ツナには到底無理というような条件が付いていた。








それは名門と謳われるボンゴレ高校の入試に受かること。

































『別に入学する必要はないけど、そうじゃなきゃ絶対、緑女子高校だからね!』



「・・・・・・・・・・クソ親父」
だってあそこ制服可愛いし!と全くどうでもいいことを言った家光の顔を思い出し、手に力が篭る。
ばきりと音がして握っていたシャーペンの芯がまた折れた。
そろそろ新しいのを買わなくてはいけないかもしれない。
嘆息してそれを白紙のノートに転がし、背もたれに体を預ける。

にしても緑高校とは。
「女子高の中でも名門中の名門超エリート学校じゃん・・・」
呆れてモノが言えないとはこのことだ。
喜ぶとしたら家光と、もしかしたら知り合いの女の子だけだ。

「俺が緑高校の制服を着る?」
笑える。寒い。
想像しただけで気色悪い。
そんな眼も当てられない格好で自分みたいのが入ったら一発でバレるに決まっている。

・・・そうしたら推薦した家光は当然首だろうからそれは一家揃って路頭に迷うことにもなるわけで。

原因の家光はどうでもいいが、お隣の奥さんと旅行に出かけている母親のナナまでこんなアホ騒動に巻き込むのは忍びない。
勿論自分も嫌だ。

「でもな〜・・・」
ぺたりと頬をノートに預ける。
行く気など更々なくても条件が悪すぎるのだ。

早速嫌だが机に向かっているものの、さっぱりわからない。
塾に通うのも、そこで恋が芽生えたらどうするの独学じゃなきゃ駄目!と意味がわからないことを言った家光により駄目になった。

じゃあ家庭教師は?其れ位いいよねこれ以上ふざけたことばっかり言ってるなら母さんに今すぐ帰って来てもらうからと半ば父親を脅す形で言うと、
これには家光も女性で自分の紹介の子ならと頷いた。







そして今日が、その先生が来る日なのだが。

「・・・・・・・・・来ないんだけど」
パポパポと飛び出てきた鳩を見上げる。

約束の14時は当に過ぎている。
家光を揺さぶって訪ねたいところだが、生憎と仕事で暫く出張とのことだった。
まあそれは慣れてるし、別に構わないてかどーでもいい。
でも来てくれる筈の先生の電話番号位聞いておくべきだった。

「何かあったのかな・・・」
段々心配になってくる。
こんなくだらないことに無理やり付き合わされた家光の部下の方辺りだと思うのだが、
そんなことで来る途中に事故などに遭われていたら申し訳なさすぎる。
聞いてないのに美人で21歳だと聞かされていたので、変態にでも遭遇していたらとダラダラと汗が出てくる。

カラクリ仕掛けの鳩が18時を告げ鳴いたところで、ツナは顔もわからない先生を探しにいくことに決め、席を立った。


しかし其処で、待ちかねていたチャイム音がツナ一人の家に響いた。
「・・!はーい!今出まーす!」

ばたばたと階段を下り、何の疑いもなく扉を開けた。

「スイマセ、もしかして迷られたんで、」




ツナの言葉は、相手の顔を見上げたことにより途中で途切れた。




















『あのなーその子は黒髪でなー』

・・・・・・・・・・いや、もろ金髪なんですけど。



『背は高めだが華奢で』

・・・・・・・いや、高すぎなんですけど。
失礼(?)だけど華奢とか似合わないんですけど。



『切れ長の眼をした』

・・・切れ長っていうか三白眼なんですけど。



『美人な女の子なんだv』

































「・・・・お前が家光の子供っていうツナかコラ?」

綺麗だけどどう見ても男なんですけどーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!?


































Continua a prossima volta...











まだコロネロが一言しか話していないのに、5656キリ番をお知らせして下さったnoiru様への捧げものとかほざいてるアマですいません_| ̄|○

しかも途中で結構長いかもしれないとか。。。


……ちゃんと仕上げたら自首しますんでぇっ!
もう少々お待ちをっ!
 

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