短編
□名前変換無し
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『ねぇブリング、なんか思うことない?』
微妙に眉をひそめながら私はブリング見下ろした。
ブリングは、無言のまま、ベッドに寝転がっている。
「・・・・。」
ひたすら無言。
「・・・・・・・・・。」
延々と、無言。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
・・・・・・。
『ああぁもう何か言いなさいよブリング!この状況でなんで黙ってるの!?』
この状況、というのは、こうである。
ブリングがベッドに座っていた
↓
私がブリングの部屋に乗り込んできた
↓
突然押し倒された
・・・普通騒ぐかなにかするだろ・・・?
(まぁブリングがギャーとか騒ぎ出したら怖いけど。怪談になるわ)
でもあまりにも反応が無さすぎる。
いつもと同じ、感情の全く読めない・・・
・・・・・まっすぐな瞳で、私を見つけてくるだけ。
『・・なんで・・・押し退けるとか、突き飛ばすとかしないのよ・・・。』
拒絶してよ。私を、拒絶して。
この気持ちはおかしいんだって。異常なんだって、言ってよ。
貴方の拒絶じゃなきゃ、私は、受け入れられないのに。
私は、ブリングの顔に、自分の顔を近づけた。
あと数センチで、唇が、触れる距離。
(それでも、貴方は何も言ってくれないのね。)
『少しでも私が動いたら、唇が触れちゃうよ?いいの?』
ふいに、ブリングの唇が、動いた。
「・・何故、泣く?」
そう言って、私の頬に手を滑らせる。
離れた指は、微かに、濡れていた。
・・・それは、間違うことなく、私の涙。
「こうしたかったんだろう?」
「自分が、そう望んだんだろう?」
「自分の思ったとおりに、やったんだろう?」
「なのに、何故、泣くんだ?」
理解できない、というように、ブリングは言う。
彼は、この気持ちがわからない。
きっと、どの他のイノベイターにも、理解できない。
異質な私だけ、持ってる特別なもの。
『あなたが・・・好きなの。』
私の心だけに芽生えた恋心
(他の同類に無いのなら、私にも、無ければよかったのに)
・ 2008.12.28