短編

□言えなかった分だけ、君をずっと。
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「アレルヤ。」

「何やってやがんだよ、お前は。」

「ほら貸してみろ。俺がやってやる。」

「・・・俺はお前を愛してんだよ!!」


口が悪くて、優しかった君。

僕が困ってると、いつだって、助けてくれた。

泣いていると、何も言わずに抱きしめてくれた。

こんなダメな僕の傍に、ずっと、居てくれた。

愛してるって、言ってくれた。


僕は・・・君に、何も返せなかったのに。

何も、言えなかったのに。

照れくさくって、恥ずかしくって。

なにより、行動に移す勇気が、ないから。


いつかもっと僕がしっかりしたら、伝えようって。

そう思ってた。

ずっと、これからも二人一緒に生きていくんだって、思ってた。



でも、



それなのに・・・





君は、いなくなった。


僕の前から、この世界から、消えてしまった。

僕を残すために、消えてしまった。



僕が、弱いから。

僕が、・・・何もできないから。


「こんなだから、君を、失ってしまった。」

「僕がもっと、もっと強かったら、君は消えなくてもすんだのに・・・っ!」


とてもとても大切だった、僕の片割れ。

もう声も手も、何も届かない。

僕の、【セカイ】だったヒト。

君の居ない『世界』に、意味なんてあるの?


「帰ってきてよ!ねぇ、置いて逝かないでよ!
 僕をひとりにしないでよ!ねぇハレルヤ!!


伸ばした手が空を切る。

すぐ近くにあったモノが、もう遠いって、思い知らされた。

僕の手を握り返してくれたヒトは、もういない。

もう・・・どこにも、いないんだ。







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