精霊の書

□待っています
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あなたに会えた感謝








「何してるの、嬢ちゃん?」



ここはパッチの村。
あたしは1ヶ月前やってきた。
さらにシャーマンファイト開催中の為、村から出してもらえなかった。
それなのに…


「えっと…ゴルドバ様から届け物で、ニクロム様を探してて……」


そう、迷子になると分かっていながらゴルドバ様はあたしにお使いを頼んだのだ。現在、案の定迷子だ。



「ニクロムが何処にいるかなんて知らないけど…
そんなことより遊ぼーよ」

「い、いえ結構です」

思わず後退り…。
パッチ族にナンパする人なんているんだ。






ドンッ






後退りしてたら後ろに誰かいたようでぶつかった。

「すいません」

「こんな娘、パッチ族にいたかな?」

「あ、つい最近来ました」

この人…あたしの手を握ってるし。


「何処か一緒にいかないか」





またナンパ?!







ふと周りを見ると男のパッチ族に囲まれている。
あたしの血の気が一気に引いた。




手を振り払って走りだした。



「あっ待ってよー」

「遊ぼーよ」

「こっち来てよー」

「譲ちゃーん」







走ってたら誰かの胸に飛び込んでしまった。



優しい香りがあたしを包んだ。







「おっと大丈夫?」


上を見ると綺麗な顔の青年と目が合った。
あたしの体温が上昇していくのが分かる。


「あ、はい」



その人は周りの男たちを見て、言った。


「嫌がってるのに追うのはやめよーよ」



男たちは口々に呟いた。


「ちぇーニクロムかよ」





え…ニクロムってこの人?




「あっあの…ニクロム様?」

「?なに?」

「ゴルドバ様から預かりものです」



紙を手渡す。


「ありがと。でもそろそろ君は帰ったほうがいいな」
「そんな…」

もっとニクロム様といたいのにな…。








グイッ




ふいにニクロム様に手を引かれ耳元で囁かれた。






「名前…次会った時に教えて…パッチ村では君みたいな可愛い子すぐ見つけられるよ」








ニクロム様、あなたに恋してしまいそうです。





あなたがあたしのとこに来るまでいつまでも







待っています





今度会う時はきっと、もっと貴方を好きになる










「帰んないの?」

「ニクロム様…道が分かんなくなりました…」

「……送るね」

「すいません、ありがとうございます」



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