氷花恋
□序章
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花は蕾からやがて花開く。
―それが、花だから
でもあたしの花は絶対に咲かない
どんなに祈っても
どんなに叫んでも
―決して咲くことはない
―咲いてはならないの…
花は恋なんてしない。
―人間ではないから…
でも
あたしは恋をしてしまった
日の光を見つけてしまった
―もし花が恋をしたら?
…花は枯れてしまう
…―それが花の運命【さだめ】だから…
だけど
それでもあたしは構わなかった
例え自分の身がどうなろうと
―あたしは貴方が好きでした…
貴方はあたしが生きている証でした。
けど
あの日あたしは貴方と結ばれてはいけないこと、
触れてはいけない存在だと知った。
だから
あたしは貴方から離れる
―離れなきゃいけない
だから
さようなら…
…―冬獅郎…
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