君は少し嬉しそうに、


「幽霊、死体…見たことある?」


精神病棟 4階 423号室
真冬の深夜12時54分

消灯時間を過ぎてから静けさが続く部屋
同じ病室の1人が不意に言った


「ねぇ、皆起きてるんでしょ?」

「お前の声で起きたんだよ」

「俺は咲人、精神異常者。キミ達は?」

「あっ…よ…み…」

「…瑠樺。」

「じゃあ黄泉、瑠樺。一緒に…」


精神病棟 4階 423号室
真冬の深夜1時15分

俺には、理解出来ない世界。




「この病棟には幽霊が出るんだって。首を切り離された女の子。死体は、この病棟の7階の一番奥、740号室に捨てられた。」

「え、7階って…」

「この建物の7階が封鎖されてる理由だよ」

部屋を抜け出し、廊下を歩きながら話を続ける咲人
後ろに付いていく俺は怖くて、あんまり耳に入らない
隣の瑠樺さんは、平然と歩いてる


「7階へはエレベーターじゃ行けない。階段で行くよ」

「やだ…やめようよ…こういうの…」

「もう遅いよ。」

非常階段への扉を開くと、独特の緑の光
眩しさはあまりない。



「7階の非常階段扉は鍵で閉じられてる」

「え、鍵は…」

「…ココ。」

見ると咲人の手には鍵

「そんなっ…なんで!?」

「ふ、そんなに驚かないでよ。俺好きなんだよね、こういうの」


答えになってない。怖い。
そう思う暇も無く、非常扉は開いた


「…暗いな。」

「そりゃあ、閉鎖されてるからね」

「怖いよ…」

「はは、黄泉は怖がりだなぁ」

「俺にくっつくなよ」

「えー…瑠樺さんデカいから包容力ありそうなのに…」

「意味わかんねぇし」



咲人から受けとった懐中電灯を付け、先に進んだ

7階は暖房がつけられて無いせいか、かなり寒くてカビ臭い。


「この…奥だよね…」

「そう、740号室」

「なぁ咲人、」

「うん?」

「そのガキの死体は…そのままなのか?」

「瑠樺さんっ!」

「…さぁね。そこまではわかんないや。」


咲人は懐中電灯で周りを照らし、廊下の奥を照らした。


「行くよ。…視界の隅に気をつけて。」

「えっ…」


歩き出した咲人を、瑠樺さんと一緒に追い掛ける



「…こういう時のモットー知ってるか?」

「な、なに…?」

「“後ろは絶対振り向くな”。」


瑠樺さんは、余裕が無いように笑った。






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