自傷
□切り裂かれた亜夏羽
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ただ、永い夜が重かった。
「―…さとる、」
「……ん?」
「…覚さんは、もしこのまま夜が明けなかったら…どうする…?」
「……………」
裸のままベッドの上で煙草を吸っている覚さんは、少し顔を歪ませた
「―……逃げるよ。」
「…は?」
「………お前連れて、どっか遠くへ行く。もしかしたら夜明けが来る所があるかもしれねぇし」
…この人は、馬鹿なんだろうか。
「…そんな場所、無かったら?」
「別にいいんじゃねぇの?貴浩と一緒ならどーでもいいや。」
なんとなく、嬉しかった
「…覚くんは馬鹿なんですね」
「なっ…」
「ふふ…、ありがとう」
「………。」
照れたように 布団で顔をかくした覚さん
このまま夜明けが来なくていいとか、ちょっと思ってしまった。
End