小説(短編集)
□酔いに溺れて…
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「今晩は、ラビ♪」
ご機嫌な顔で壁から顔を出す男が、オレに話しかけた。
しかし、オレは反応しない。
「ラビ?」
反応のないオレのそばに駆け寄って顔を覗き込む。
「・・・」
「どーしたの?」
「話しかけんな」
上機嫌だった男は、オレの不機嫌な声に怪訝そうな顔をした。
「いきなり酷くね?」
「うるせ」
「冷たくすると怒るよ?」
鬱陶しかったけどこのまま反抗し続けても仕方がないだろう。
「二日酔いで頭痛ぇんだよ、頼むから眠らせて…」
こうなったのは、昨日の夜が原因だ。
いつものように任務である国にきていた。
今日はアレンやじじぃも一緒の任務だ。
そして、珍しくユウも…
『勝負しませんか?』
アレンがご飯のあと発したこの言葉。
そして、トランプをテーブルに置いた。
「オレは西洋カルタなどやらねぇ」
「負けるのが怖いんですか?」
アレンの挑発によりユウは参加。
オレは強制参加。
じじぃは見学。
勝負内容はポーカー
(あ、もう負けたな…)
オレは、ポーカーをするときのアレンの勝負姿を知っている。
その姿はもう恐ろしかった。
相手はあの男だったからその時はまぁいい気分だと思ったけど、敵にまわすとやってらんないよ実際…
案の定、勝利したのはアレンだった。
しかし、意外なのはユウだった。
毎夜毎夜アレンと勝負しているせいか、ポーカーが強くなっていたユウにオレは負けた。
「罰ゲームは、そうですねぇ…この中にあるお酒一気飲みして下さい」
そう言われ渡されたのは、一本の酒のボトルだった。
(なんで酒なんかあんの?)
しかしいつもよりはまとも罰ゲームなので仕方なく承諾した。
ここで断ったら次にどんな変な要求がくるかわかったもんじゃない。
そしてオレはこの状態だ。
せっかく任務は終わったのに、オレはこの状態なので帰るどころか動くこともできない。
アレンたちには先に帰ってもらい、教団に頼んでホテルの宿泊を延長してもらった。
そして寝ていたら、この男が現れた。