小説(短編集)

□突然の訪問者
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オレはいつものように教団の自分の部屋で読書にふけっていた。

じじぃは今はいない。

任務でどっかに行ってる。

最近は別々で任務につくことが多い。

だからほとんどが別行動だ。

オレも子供じゃないんだからじじぃがいなくて寂しいなんて思わないし、逆に一人だから落ち着いて本が読めていい。

幸い、明日はどんな任務にもついてない。

だから夜通し読書を続けるつもりだった…







ただ今の時刻、午前三時四十八分。

夕飯を食ってからずっと読んでいた。

するといつの間にかこんな時間になった。

さすがに疲れたので、一旦本を閉じ目を瞑ってぐぐっーっと背伸びした。

少し椅子を後ろに傾けぐてーっとしていると、突然椅子が倒れた。

「…いって」

突然の出来事に不愉快に顔をゆがませた。

倒れた椅子の上に横たわるオレ。

そして、そのオレの上に覆いかぶさる男。

「今晩は」

研ぎ澄まされた黄金の瞳でオレを見つめる。

椅子が倒れたのはこの男が原因か。

「痛いんだけど…」

それは、倒されたことにより腰が。

そして、オレの手首を掴んでいる手が。

さらに、オレを見つめ続けるこの男の視線が…

「いい加減どいてくんない?」

「ラビ」

脈絡もなく名前を呼んでくる。

いったいこの男はなにがしたいのか…

「邪魔」

オレは男をどけ、上半身を起き上がらせる。

「痛い…」

打ちつけられた背中を摩る。

「今晩は…不法侵入者さん」

「今晩は、夜更かし兎さん」

男はオレの目を見つめる。

「こんな時間まで起きてたらダメだろ?」

オレの目は、少し赤くなっていた。

「疲れた…」

オレは立ち上がり、ベットに寄りかかった。

「どうせ寝てても、起こすくせに…」

この男は毎日のようにオレの部屋へ現れる。

毎日と言っても、じじぃのいない日毎日なのだけれども…

そして、オレの安眠を邪魔する。

「いつもは寝顔を堪能してから起こすの、だから寝ててくれないと…」

「ムカつく」

こいつはいつも余裕ぶって…

オレは毎日起こされて、目を開けるとこいつの整った顔が目の前に現れる。

その度にオレの身体は地に堕ちていく。

再び目を開けたとき、オレの目の前に広がるのは天井のみ。

その繰り返しが怖くて、オレは眠るのを無意識に拒んだ。

今考えれば、それが今日の夜更かしの原因だったのか…

「消えるぐらいなら…現れんな」

オレは自分の赤い目から雫を流し、男の目の前で夢に堕ちた。

どうか、再び瞳を開けたとき、あなたがまた目の前に現れますように…


end

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