小説(短編集)
□Rabbit or Lavitto
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オレは、任務のためある国にいた。
夜、なんとなく部屋から出たら、其処にはいるべきではない人物が立っていた。
「やぁラビ、こんばんわ」
「なんでいるんさ?ティキ・ミック卿」
ティキって呼んでよ
そう言ってティキは軽く微笑んだ。
「お前がこの国に来てるって聞いたから、ラビに会いに来たんだ♪嬉しい?」
オレの顔が赤くなったのが分かった。
「ん、んなワケ、ねーさっ」
フンッとティキから目を逸らすと、ティキの腕がもぞもぞっと動いた。
「さっきからなに抱いてんさ?」
目線をティキの胸へ動かす。
「ん?これ?ウサギだよ」
ティキが言うと腕の隙間から白い耳が現れた。
「なんでティキがウサギ抱いてんの?」
「だって、ラビなかなかホテルから出てこないんだもん」
いつもみたく壁すり抜けて入ってこればいいじゃん。
そう言おうと思ったけど、それじゃあティキがオレの部屋に勝手に入るのを許すみたいになって嫌なので止めた。
「ラビが来るまで一人で寂しかったからこの仔に相手してもらってたんだ。可愛いし温かいし」
「確かに…」
オレは白い毛のウサギの頭を撫でる。
「ラビみたいだしねV」
「・・・」
確かにオレはよくウサギに例えられるけど…
「まぁ、ラビの中の方が温かいとは思うけどねVv」
「っ…この変態」
いつの間にかウサギをオレに渡してオレの体を撫で回しているティキ。
ちょっとストップ、此処外だから…
「でももうラビ来たし…どうしようか?この仔…」
ウサギはもう一度、ティキの腕に沈められる
「食おうか?」
ティキはウサギを上に高々と上げて呟いた。
オレらの周りに流れていた癒しの空気はそのティキの言葉に一瞬で氷ついた。
「!?ち、ちょっと待つさ!!何言ってんのあんた!!」
オレは慌ててティキからウサギを奪い取った。
「なにすんのさラビ、それオレのウサギだから。返して」
態とらしく頬を膨らませて掌をオレに向ける。
「あんた何考えてんさ!?大体お前のウサギはオレだろ」
・・・
口が滑ったさ
言い訳しようと思ったけどティキは既ににやけている。
「じゃあ、ラビがオレに喰われる?」
「はぁぁ?何言ってんさ///」
「嫌?」
オレは静かに首を縦に振る。
「じゃあその仔返して」
ティキの手は白いウサギを指差す。
「か、返したらティキ、この仔食うんさ?絶対ダメ!!」
オレは激しく首を横に振る。
「もぅ我が儘なんだから。どっちかだよ?」
「ど、どっちかって…」
「ウサギが俺に食われるか、ラビが俺に喰われるか。どっちかだよVv」