兎虎小説

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※モブ視点

「え?次回のゲストはタイガー&バーナビーですか?」

深夜のラジオ番組が始まるほんの10分前。
チーフディレクターに呼ばれてそう驚いたのは、ラジオ番組では欠かせない存在となったアイリーン・ガラルドだった。

アイリーン・ガラルド。若干24歳と若くしてラジオ、アニメ界で有名になった女性だ。彼女は主にアニメ声優の仕事を受けもっているが、ラジオのパーソナリティもたくさん行っている。アニメはヒロインから脇役、少年の声まで多種多彩をこなし今年の【声優ランキング】では堂々の女性部門1位を取った。そんな記録を、彼女はあまり自慢しない。そこがまた、彼女の好かれる部分だろう。
そんな彼女のラジオ番組【アイリーン・ガラルドの、今夜も眠れNIGHT☆】に、あのタイガー&バーナビーが来週出演する。
アイリーンは自分の耳がおかしいのかとチーフにもう一度聞きなおす。どうやら聞き間違いはないようだ。

「もうアポロンメディアの責任者、アレキサンダー・ロイズ氏には許可を取ってあるからね。大丈夫さ」
「いや、私のラジオって声優を主に呼んでるじゃないですか!タイガー&バーナビーって声優じゃなくてヒーローだし、事件だって夜中起こるかもしれないし…」
「それはそれ、だ。起こらないかもしれない。…アイリーン、君は二人に会いたくないのかい?」
「会いたいです」
「ばっさり言うね。そういうの、俺は好きだな」

ははは、とチーフディレクターは豪快に笑う。

「と、いう訳で、これ進行の紙。いつものようにやってくれよ?」
「…はーい」

ぺらぺらの紙が2、3枚ホチキスで止められている進行用紙を渡されたアイリーンは、自身の席に座り、ヘッドホンを首にかける。今日のゲストはアニメ【イリアさん家の裏事情】の主人公・ウィル役の荘園つばめだ。気さくでおもしろく、最近雑誌で人気の声優だったなとアイリーンは笑みをたたえた。

オンエアが入る5分前、ゲストの荘園つばめが席につきアイリーンに挨拶をする。そしてアイリーンは傍らに置いてあるパソコンを起動させ、番組のホームページからツイッターに飛んだ。このラジオは、ツイッターのリスナーとハガキを送ってくれるリスナーの2種類いる。今回のお題は『荘園つばめに聞いてみたいこと』『言って欲しい台詞』『リスナーが考えた台詞』の3つ。彼はアイリーンの司会によってトークを30分間していくのだ。その間もツイッターはかたかたと動いていく。その反応も楽しみながら【今夜も眠れNIGHT☆】は進行されるのだ。

そして、オンエアされてから25分が経過。このラジオは生放送な為、巻きが入ったりカンペが出されたりもする。テレビのように進んでくアイリーンのラジオはいよいよ最後の感想コーナーへと移った。

「おおっとー、もうそろそろ荘園くんとお別れの時間が来てしまいました。荘園くん、ラジオに出演してみてどうでした?」
「いや、中々おもしろいですね!アイリーンさんは生放送でも容赦ないっすよほんと。でもまた来たいです!」
「二人っきりはちょっときつかったとか?」
「綺麗なお姉さんといっしょでよかったでーす!」
「やだなあ棒読みですよ、荘園くん?」
「あははは!」
「―――と、いう訳で、【イリアさん家の裏事情】主人公・ウィル役の荘園つばめくんが来てくださいました!次回は、ななな!なんとあの大人気ヒーローコンビのタイガー&バーナビーがきますっはい拍手ー!そしてお題は『ヒーローになっての苦労話』『二人に聞きたいこと』の二つ。じゃんじゃんこちらまで送ってくださいね!ホームページからでも投稿出来るからよろしくっ☆あ、荘園くんお菓子持って帰っていいよ」
「え?いいんすか、ありがとうございます」
「ウィルでしめてからね」
「わかりました!…ごほん、―――『…お菓子持ってってもイリアにせびられるよ、もう…!』」
「では皆さん、また来週〜!」

アイリーンの言葉で完璧に締めくくられ、音楽が鳴る。パソコンを見ると、ツイッターがあらぶっていた。
ヒーローコンビが来週生放送で聴ける!
まさかのコンビ!ktkr!!
絶対耳が幸せになるし。間違いない^^
今から俺は全裸待機するぜ(ババッ
聞きたいことありすぎて思い浮かばんwwww




「すご、タイガー&バーナビー」

ゆっくり見る暇もなく、アイリーンはパソコンをゆっくりと閉じた。
楽しみは来週取っておくもの。投稿された質問はラジオ内で引き、紹介される。今から楽しみだ、とアイリーンは口角をにいいっと吊り上げた。

「おお、アイリーンいたんだね。よかった」
「どうしました?」
「いや、来週タイガー&バーナビーがゲストだろ?人気だから2週くらいしちゃおうと思って」
「それ、いいと思います。他の声優とか私といっしょにパーソナリティやってもらおうかな」
「人選は君に任せるよ、じゃあ俺は帰るね」
「お疲れ様です」

チーフが部屋から出て行く。アイリーンもそれを見送ってから身支度を整え、電機を消して帰路へ着いた。

タイガー&バーナビー。
彼らは一体何を話してくれるのだろうか。


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