華麗なるリレー小説『よしこの華面』
□第四幕〜仕組まれた出逢い〜
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写真には若い男女が写っていた。彼女はその写真を見て『あ』と小さく声をあげた。
そして、私の方を見ると一目散に走り出した。
『お待ちなさい』
私は叫んだが、彼女はどんどん小さくなっていった。少し早やすぎた、焦りすぎたと私は後悔した。
その時、誰かが私に声をかけてきた。
『あの、どうされたんですか?』
彼女と同じぐらいの年の女の子だ。
『私は演劇評論家をしているの、少し彼女と話をしたくて』と話す。
その子は私に向かって『あの娘に関わらないほうがいいですよ。あの娘疫病神ですから』
そう言うと少し悲しそうに笑って、さっと走っていってしまった。
同じ時間、彼女は走っていた。
なんで、あの写真をあの人は持っているんだろう…どうして。そんなことを思いながら無我夢中で走った。その時、ドンと誰かにぶつかり、私は反動で転んでしまった。
顔をあげると見たことのない黒いスーツの男がいた。
『大丈夫ですか、お嬢さん』
男は手をさしのべた。そして、私の手をつかむとこう言った。
『みつけたよ、ひびき』
《続》
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