華麗なるリレー小説『よしこの華面』

□第三幕〜迫る危機〜
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気配を感じて振り返ると、そこには舞台を凝視している黒ずくめの男がいた。

―――ひびきハンター…だ。

「ひびき」の反応は、それだけ質の高い芝居が上演されているという証。その存在を邪魔に思い、密かに「ひびき」を狩っている組織があるのだ。
一刻も早く彼女に会い、その身に危険が迫っていることを知らせなければ…

翌日、私は学生劇団の活動拠点であるアトリエを訪ねた。彼女への面会を求めると、対応していた団員の顔色が変わり、すぐさま追い出された。

理由もわからず茫然とする私に時間は容赦ない。事は一刻を争うのだ。
立ち上がり、衣服についた砂埃を払う。地面に転がる鞄を拾い、頭から浴びせられた冷や水を手のひらで拭う、その時…

「大丈夫ですか?」

と涼やかな声が背後で響いた。

彼女が優しげな笑みを浮かべ、ハンカチを差し出していた。一瞬、本物の天使が空から降り立ったのかと思った…

私は鞄から一枚の写真を取り出すと、彼女に渡した。そこには「アレ」が写っていた。

                              《続》















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