華麗なるリレー小説『よしこの華面』

□第二幕〜「ひびき」の存在〜
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「ついに…見つけたわ!」

芝居上演中、突然床に響く音。これは通称「ひびき」の仕業である。その「ひびき」が、この寂れた町の小さな劇場にもいたのだ。

「ひびき」は故意に芝居を妨害しているのではない。心と魂への共鳴が敏感すぎる故に、その場に影響を与える反応を抑えられないのである。そして往々に無自覚なものが多い。また「ひびき」の反応は、それだけ質の高い芝居が上演されているという証明にもつながる。

このサングラスの女性も、かつては「ひびき」だった。小学生の時に専門家に見出され、厳しいトレーニングを受けた。今は本名と素姓を伏せたまま、劇評論家として活動している。

サングラスの女性は、この学生劇団のチラシを観た時、デジャヴのような懐かしさを覚えた。また、天使の少女に強烈に惹かれていく気持ちの高まりを抑えられずにいた。

「あの娘のことが知りたい!」

今日は初日である。ひとまず、新たな「ひびき」とコンタクトをとるか…それとも…

                              《続》















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