幻想怪奇小説『令嬢の家』

□最終回 覚醒…そして
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背後からの視線に振り向き、よしこは凍り付いた。漆黒の翼を広げた恐ろしい目の男が自分を見下ろしている。
(その目を見てはいけない!!)
突然、頭の中に声が響いた。目の前に金色の鈴をくわえた黒猫がじっと見つめている。
「今の声は…お前なの?」
(時間がありません!早くこれを! さあ!鈴を鳴らして!)
戸惑いながらよしこは鈴を鳴らす。
すると眩い光がよしこを包み、やがて黒猫耳に尻尾を付けたメイド姿に変わっていく。その光にタキシードの男は突然叫び声を上げ消えていった。
(やっと逢えました、よしこ…いいえ、ブラックキャット)
すると走馬灯の様に前世の記憶が次々と甦って来る。
「あなたはアイシャ? 覚えてる…私、あなたと共に戦っていた」
目の前の黒猫が嬉しそうに目を細める。
(再びこの世界に闇の恐怖が訪れようとしています!)
黒猫…アイシャは小さな手をよしこに差し出す。
よしこは迷わずその手を取り、力強く頷き立ち上がった。
「さあ、行きましょう!」
よしことアイシャは駆け出して行く。

世界の危機に前世より再び覚醒したブラックキャット!
これから待ち受ける過酷な試練の旅が今始まった。



《終》





























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