幻想怪奇小説『令嬢の家』

□第六回 導く手
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差し出された右手をつかんではいけない…心のどこかでそう思うのだが、それとはうらはらに、よしこは暗示にかかったようにゆっくりと手をのばし、その男の手をとったのだった。
よしこの手をしっかりと握り、男は歩きだした。
聞きたいことはやまほどあったが、なぜか今話しかけてはいけないような気がして、よしこは黙ったまま、この謎の男と共に歩き出した。

一体、どこへ行くのかしら…

そう思いながら、よしこは意識がだんだん薄れていくのを感じた。どこをどう歩いたのか、どれくらい歩いたのかまるで記憶にない。気がつくと、大きな扉の前に立っていた。
その扉をおそるおそる開けて、よしこがみたものは…

ここは…劇場?

《続》















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