短編
□複雑な乙女心
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俺も二人同様に立ち上がり、雲雀を睨んだ。
もちろん周囲の目はこちらに向いている。
店員達もどう対応しようか、遠回しに様子を伺っており中々近付けずにいた。
『二人ともッッ!!』
…と、これから始まるのだという最中に骸が割り込んできた。
『隼人君ッ!;
何をする気ですかッ、それに雲雀恭弥も…』
『決着付けんだよ馬鹿ッ、離せ…ッ!!!』
骸はテーブルを土足で通り越し、俺の背後に回ってガッシリと後ろから押さえるが俺はその腕を振り払おうと必死に藻掻く。
この際、バタバタと暴れてパンツが雲雀に見えていようが気にしない。(…というか気付いていなかった)
『…何故そこまでしても雲雀恭弥に構うんですか?』
『骸だって構ってたじゃねーぇか...』
『あれは隼人君に虫が寄らない様に―…………あ、その手が在りましたね。』
骸が押さえていた手を離し、俺の身体が自由となった。
今の今まで黙っていた雲雀は(鼻血が出ていたのはスルーした)それを見兼ねて言葉を発する。
『ちょっと、いつまでイチャつくつもり?
いい加減咬み殺す―…』
『隼人君。』
『…へ?』
チュッとリップ音が響き渡る。
骸に…キスされた…!?
あまりの事に頭が着いていけず、暫らくは真っ白だった。
…だが、刻々と深くなる口付けに俺は意識を戻す。
『んッ…んぅうッ//』
ギュッと目をつぶり、快楽に耐える。
それも限界に達したので俺は骸の胸板を必死に叩いた。
『ッは…ぁ…む、くろ//』
『クフフフフ…』
『……………』
酸素を欲して居る為に声が途切れ途切れで辛い。
頬も火照っているのか熱く感じた。
んでもって、さっきより周囲の視線が痛い。
雲雀の野郎なんて鋭い目を極限に(笹川みてぇだな)開いて凝視しているし。
『骸ッ…見てんじゃねぇかみんな...//』
見られている事に耐え切れなくなった俺は、腰に手を回して抱き寄せてきた骸にボソッと小声で呟く。
俺にとってキスされた事に問題は無いから突っ込まないでほしい…
そんな骸は今だに怪しい笑みを浮かべながらクフクフ言っていた。
そして一言だけ俺に教えてくれた。
『隼人君が只好きだから(守る為の最終手段だったん)ですよ。』
…骸にしては臭い台詞。
珍しくもその顔には照れ隠しなのか苦笑いが浮かべられていた。
『俺も…』
『なら、そろそろ帰りましょうか。
今日は隼人く…いえ、隼人の家に行きましょうかね』
『じゃあ骸にチョコ入りカレーでも作ってやるなッ!』
『おや?隼人にしては珍しい…じゃあ行きますよ』
骸が差し伸べた手を握り帰して俺たちは此処を後にしのだった―…
その後、数週間くらいは雲雀の姿が見えなくなったから結果オーライだ。
*NEXTおまけ&反省