短編

□結婚しましょ♪
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『結婚しませんか?』


嗚呼、一層の事果ててくれこの変態野郎…。






並盛のとある中学の屋上での昼下がり、事の発端を作った人物がそう言い放った。


今この場には獄寺と骸の二人の姿しか見当たらない。

…つまり、骸に当たる。


いつものメンバーはと言うと、山本は部活の集まりで綱は先生から呼び出しをくらい暇なのは獄寺ぐらいしか居なかったのだ。(元から3人だったので然程変わりは無いが)

そして並盛中にも関わらずに他校生の骸が居るのは、愛の力と言う事にしておいてほしい...



そんな話はさて置き、本題に戻ろうとしよう。


急に結婚しろ、だなんて言う奴にろくな人は居ないと獄寺は悟った様だった。

ムスッと機嫌が悪そうに顔をしかめながら焼そばパンを口にと運んでいく。



『…つか、何でてめェが此処に居るんだ?』

『愛故の尾行です』

『…要するに、ストーカーしてきたッて訳か』

『はい』

『認めるのかよ…』



一々突っ込むのも面倒なので後は適当に話を促しておく。

力説している骸にはまるで興味が無いのか目もくれずに食べる獄寺に、骸は獄寺の体を揺すりだす。



『隼人君ッてば聞いてますかッ!?』

『んー…あー、おゥ』

『僕は本気なんですッ』

『つか何で結婚なんだよ』


その言葉に待ってました、と言わんばかりにも骸はピクンと反応を示す。
どうやらその理由を言いたくて仕方のない様だった。

そんな骸を見てか、獄寺は引きながらも再度同じ質問を聞いてみる。


『…所で今日が何月か分かりますか?』

『(普通聞くなら日にちじゃねぇのか…?)
6月、だろ?』

『ご名答。
そうなんです、ジューンブライドなんですよ!!』

『…てっきり骸の誕生日の事かと思ってたぜ』

『あ、誕生日は祝って下さいね;』


それと...と、骸は胸ポケットの中から手の平に納まるくらいの小さな箱を取り出しす。

その箱の見た目からして高級感が溢れていた為に、獄寺はそれを只凝視するのだった。


『中、何入ってんだ?』

『開けてみて下さい』


獄寺は決して自分では開こうとしない骸に不信感を抱きながらも、食べ終えたパンの袋を其処等辺に捨て箱に恐る恐る手を伸ばしてみる。

それを見兼ねて、骸は獄寺の手にそっと箱を手渡した。


開けた箱の中には―…



『り…リング!?』


真上から屋上を照らす日光をキラキラと反射して眩しいくらいに輝きを帯びたシルバー系の物…

それは正しく、結婚指輪そのものだった。


『ッおい骸!
これってまさか…』

『本物の指輪ですよ』

『んなの分かってるッつーの!!
だから、その…ッ!;』

『おやおや?どうかなさいましたか?』



コイツ、わざと―…

なんて思っている内に、骸は獄寺が唖然として持っている指輪の入った箱をパッと奪う。

箱から大事そうに指輪を取ると、獄寺に左手を差し出して下さいと付け足す。



『…隼人君、いえ、隼人…』

『な、んだよ…ッ』


今までに見たことの無い真剣な目付きを獄寺に向ける骸。
獄寺はその視線を避けることが出来ずに焦りながらも目を合わせた。



『結婚しましょう..』

『は…ッ!?』

『僕と生涯を共に歩みませんか?』

『な、ちょっ…』

『愛してます、隼人…
君以外に僕は何もいりませんよ』

『ばッ…てめぇ、骸!//』


押しに弱い獄寺にとって骸の言葉は毒みたいに強力なもの。

頬は既に羞恥心で真っ赤に染まっていた。

骸の言葉攻めに耐え切れなくなった獄寺はとうとう癇癪を起こす。


『変態ッ!アホ馬鹿骸ッッ!!//』

『変態でも、ストーカーやナッポーでも露出狂だろうが言われても構いません。』

『…其処は否定しろよ』

『ですが、』

『ッ!?』


骸が抱き寄せて、チュッと軽い口付けを交わす二人。
正確には、骸からのキスだったのだが。


『僕はあくまでも、君だけの者なんです。
ストーカーも夜セ●●●したり露出するのも強●するのも…全部』

『や、だから否定しろよ。
つか放送禁止用語を使うな。』

『隼人君…』

『だっ、あーもぉッ!!』


グイッと骸を引き寄せて、今度は獄寺が口付けをする。

それはほんの一瞬の出来事だったが、骸の唇には確かな柔らかい感触が残っていた。

骸はくふふ、と馴染みのある声を出しながら指輪にも口付けをする。



『べ、別に良いぜ…ッ。
骸が望むんならなッ!!///』

『…本当に素直じゃ在りませんね』

『るせッ、果てろ!///』




そして二人は再び見つめ合い、先程より甘くて熱い口付けを交わすので在った―…



…決して離したりはしませんよ…



獄寺が去った後の屋上で、一人そよそよとした風を感じながら骸は呟いたのだった。





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