◇TMNT◇

□take it for granted (前編)
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ちょうどそこへトレイにお茶とお菓子を乗せてスプリンターが入ってきた


この騒ぎはおそらくスプリンターの部屋にまで聞こえていたはずだが、あえて見て見ぬ振りをしてテレビの向かいのソファへ腰掛ける


だが、父親同然の彼が来たことで水をさされたレオナルドとラファエロは互いに構えを解いた


「一生言ってろ!f××k'n亀!!」

レオナルドに吐き捨て、
親指を下に向けながら自室へ引っ込むラファエロ


「〜・・・ッ」

しばらく肩を怒らせて
俯いたままレオナルドも自室へ入る



「・・・
ドナちゃ〜ん・・・」

合わせた両手にポテトチップスの袋を持ったまま
ミケランジェロはドナテロの方へ目を向ける

そんなミケランジェロに首と手を振って
ドナテロはパソコンに向き直った


こんな時、どうしようもないのは経験で分かっている


触らぬほうが正しいことは
経験豊富なスプリンターが態度で示していた


カタカタとパソコンへの打ち込みを再開させたドナテロ



一人取り残されたミケランジェロは
開け損なったポテトチップスの袋をソファに投げ捨てる

代わりに足でスケボーを蹴り上げると、ホール端に設置されたハーフパイプで勢い良く滑り始めた


土砂降りにも似た車輪音にテレビ鑑賞を妨害され、眉をひそめるスプリンター

だが先ほどの二人の息子が引き起こしたいざこざのほうが心にわだかまっていて、
どのみちテレビの内容に集中できないでいた




ハーフパイプでは滑走に勢いが十分ついてきたミケランジェロ

しかし、滑り始めてひとつの技をキメるよりも早くラファエロが再びホールに姿を現す


その手にはフルメット

ライダースーツに身を包んだ彼は
完璧な外出スタイルだ


ハーフパイプのエッジにボードを引っ掛けて一時停止し、
目で追うミケランジェロ

「どこへ行くのー?」

大きく腕を振り
わざわざ明るく振舞って声をかける彼に目もくれず
ラファエロは自分のバイクに跨りホール中央を派手なエンジン音をたてて駆け抜けた。



ホールを離れたエンジン音が消えると

それを待っていたかのように
今度はレオナルドがホールに戻ってきた


ライダースーツではないが
やはり外出するのだろう

服を着て目深に帽子を被っている


「先生、先程は・・・」

「そうして周囲を気にしている余裕を、
なぜ自身に活かせんのだ?」

「はい、
・・・反省しています」

そこまでやりとりすると
ハーフパイプ上からこちらを見下ろしているミケランジェロに気付く

「・・・マイキー、
心配させたね、ごめん。
少ししたら戻るよ」


出て行く前に
ミケランジェロを見上げて告げるレオナルド


「・・・
お土産よろしくね!」


エッジにとまったまま片手を挙げて笑顔を返したミケランジェロを見て、
申し訳なさそうに、それでも少し微笑んでレオナルドは出て行った。





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