*名前はサラで固定*
これは暖かい風が吹き始めた風の季節のある日のお話。
ただっ広い宮の中を黒髪を揺らしながら歩く。何を思うのか、黒髪の少女、サラは一室を目指していた。
『あのー…』
「ん?サラか。どうかしたのか?」
鈴を転がすような音色の声にさらりと流れる黒髪。
部屋の扉から顔を覗かせているサラに中にいた金髪の男、カイルは柔らかく笑みを浮かべた。
『用はないんですけど…今忙しいですか?』
控えめにそう聞いてくるサラにカイルは手招きをして、周りにいた人間を部屋から退室させた。
「暇だったか?」
『…ユーリはアスランと遠乗り行ってしまったし…話し相手がいなかったんです。』
手招きすればちょこちょこと寄ってくるサラにカイルは柔らかく笑みを浮かべたまま絹のような黒髪に指を通した。
「ここにいるといい。私でも話し相手くらいにはなるだろう?」
女にたいしてどこか一線を引くカイルでもサラにはそれをする事がない。
ユーリにも素で接してはいても心を許す女はたった一人だ。
『邪魔にならないようにしますね。』
髪を撫でられ気持ちよさそうに目を細めながら柔らかく笑うサラの額に唇を落としてカイルはサラを膝に座らせたまま執務にまた取り掛かった。
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