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□その執事、変化3
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皆様こんにちは

愉快なファントムハイヴ家の日常でもご覧になられますか?







相変わらず身体は女体化したままで、慣れたくもない身体にも早々慣れた頃。
胸を鷲掴みされたあの時から、何故かバルドがよく見て来るようになった以外特に変わりはない。
恐らく面白半分という意味だろうが、とても坊ちゃんには見せられない卑猥な女性の下着を送ってくる
確かに時折女装をさせられている姿は、バルドにとって面白い以外の何者でもないのだろう。

勿論この事を坊ちゃんは知りませんし、そおもそもこんな事を報告してどうするというのか…



「はあ…実に不愉快です」


自室に戻りベッドの上に投げた、バルドからプレゼントされた紐パンツ…。
黒を基調とし、控えめなフリルと一部透けているといったなんとも卑猥な下着だ。
ふと思うが、まさかこれをバルドは自分で購入しているのだろうか…。
おっさんが下着を…なんとも変態チックですね
疲れるのは何もそれだけではない

ニナから送られてくる荷物に、セバスチャンの服も一緒に同封されていた。
バレないようにと不自然に見えないように、ニナが燕尾服を作ってくれたりしたのだが…
送られてくるのは何故か女性モノであり、どれも…その露出が多いドレスだった。
特に足など、彼女の衣装を見ればすぐに納得はするのだが…



「これをどうしろと…」


ドレスなど貰っても、セバスチャンは着るつもりなど毛頭ない。
バルドの下着に対しても、全く同じ事を言えよう。
いや…バルドの下着については、今すぐ焼却処分するべきだ。
何故取っておいたのか、丁寧に自室にまで持ち帰った自分が分からない。



「さて、これは処分しましょう―…


「セバスチャン!」


「ぼ、坊ちゃん!?使用人の部屋に赴くなどそのような…」


言葉を遮るように、勢いよく近づいてくる。
その表情は不機嫌そのもので、一体何事かと思う。
生憎セバスチャンには心当たりはないが、呼び出さずに部屋にまで来るとはよっぽどの事かもしれない・・・。
ピタっとすぐ傍で足を止めると、ベッドの上に投げてあったドレスと下着を見つめられているのに気づく。
あ、と思うも遅く…



「セバスチャン…」


低すぎる声に、まだ声変わりはしていなかった筈…などと見当違いの事を考えてしまった。
ああ、そんな事より
このベッドの上のゴミは確実に、今のシエルの怒りの原因だ。
今更捨ててしまったとしても遅いのは分かっている為、どうしたものかと考える。
そんな事をしているうちに、シエルがベッドの上のモノを指差し据わった目でセバスチャンに問いかける。



「これは一体なんだ」


「ドレスと下着ですね」


「そんな事は見れば分かる!お前の事だがワザとだろう!!今はそんなボケはいらん!普通に受け答えしろ」



怒鳴り声を上げ疲れたのか、喋り終わると息を切らしてた。
体力がなさすぎるのも、考え物ですね…。



「ドレスは坊ちゃんも知っての通りで」


「ニナだろう、これは僕が頼んだから知っている」


「はい…(頼んだ?)、下着はバルドからですね、どうも女装姿が面白いのか知りませんがこのような冗談で贈られて」


言い終わるとシエルを見下ろす
身長差的にどうしても見下ろしてしまうので、決して見下(みくだ)すという意味ではない。
ふるふると震えるシエルに、一体何事かと動向を観察する。
上げた顔は真っ赤で、これは照れている訳でもましてや面白すぎて赤いなどではない。
怒り…だ
一体今の話のどこに怒る要素があるというのか、セバスチャンには皆目見当もつかない。


「この…馬鹿か!!」


「いきなり罵倒されましても、私には理由が分りかねますが」


「悪魔は皆そうなのか!?いやお前が特別鈍いんだろう!明らかにバルドから意識されているのにいい加減気付け」


そう言いながらシエルは、パンツをセバスチャンに投げつける。
当然柔らかい布の下着は、当たることなく情けなくひらひらと床に落ちる。
男が女性に服などを送る理由、そんなもの…脱がせたいからという意味に決まっている。
バルドは前々から怪しかったが、どうやら女体化したセバスチャンにとうとうやられたらしい。
恐らく、フェロモン…。




「…意識されていると?」


「そうだと言っている」


「…私は誰に意識されようとも、坊ちゃん以外に興味はありませんが」


「当たり前…は?」


シエルは今言われた言葉を頭の中でもう一度リピートする。
つまりは、シエル以外に想われてもどうとも思わないし
セバスチャンが想うのはシエルだけという事で…
まさかこんなに素直に言われるとは思っていなかった分、余計に理解と反応が遅れた。
対するセバスチャンはとてもいい笑顔で、シエルを見下ろしていた。



「………いい加減元の姿に戻れる努力をしろ」


「いいのですか?」


「何がだ」


「坊ちゃん、お気に入りになっているでしょう?私のおっぱi」


「馬鹿か!それは情事中に言わせただけで、今は普通に胸といえ!」


早く方法を探せと怒鳴り、折角良くなる…寧ろかなり浮かれる寸前だったのに機嫌は急降下。
そのまま荒々しくドアを閉め、足音を立て部屋から遠ざかっていった。



「…胸がお気に入りという点については、否定しないんですね」


それよりも、最初に部屋に来た時に何か用事だったのだろうか…。





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