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□夏の暑さに頭が…
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「全く馬鹿ですかあの人達は!」


早速だがセバスチャンは心が折れそうだった。
各自改良された武器を持ち、セバスチャンを襲ってくるのだ。
メイリンとバルドは水鉄砲で、フィニは大タライに大量の水
屋敷を水浸しにするだけでなく、無茶な行動をするせいで窓ガラスが割れる。

ほぼ未然に防げてはいるものの、一箇所ガラスが割れたのがプライドを傷つけた。
セバスチャンは主に屋敷を守る事に専念しているため、ずぶぬれ状態だった。
水気を吸った上着が重く、身動きが取りにくい
溜息を吐き、上着を脱ぎ捨てた。
勿論とりあえずシワにならないように、だが。



「はあ…壁などは無事ですが、床が悲惨ですね…」


以前メイリンの洗剤の量を間違え、泡だらけになった時もそうだが。
乾かす方が面倒なのだ、窓は替えれるし壁も修復がすぐできる。
だが濡れた床や絨毯は乾くまで時間が掛かるし、湿気が漂う。

それを考え憂鬱になっていると、ポトリと肩に何かが落ちてくる。
ちらりと視線をやれば、それはスネークの蛇でチロチロと舌を出してセバスチャンを見つめていた。



「水だらけで嫌になる、おちおち休んでもいられねえ…ってワイルドが言ってる」


「スネーク、貴方自身は水を被っているようですが?」


「出来れば早く乾かしたいんですが、どこにいても安全ではないので、ってキーツが言ってる」


ああ、スネークはある意味被害者だ。
言ってしまえばセバスチャンに近づかない方が、安全と言えば安全だ。
狙われているのはセバスチャン一人なのだから。
濡れてぺタリとなった髪を見て、疲れた心に癒しを感じる。



「はあ、貴方もずぶ濡れですね(洗濯物をどれだけ出せばいいんでしょうか)」


「っ!!」


頬についた水を指ですくい取り、苦笑しながら言えば何故か真っ赤になって固まったスネーク
精神的に疲れていたのと、スネークが赤くなった理由が全く理解出来ない事に気を取られ
スネークが「あ」と言った瞬間には、既に遅かった。



「よっしゃあ!当たったぜ!!」


「「…」」


びっちょりと濡れたセバスチャンとスネーク
バルドの水鉄砲は火炎放射器をモデルにしたもので、威力が半端ないし水量も多い。
当然あたり一面水溜りになったのは、言うまでもない。
そしてスネークとセバスチャンにくっついていた蛇も、危機を察した本能でか逃げこの悲惨な状況を免れていた。



「涼みたいというのは理解できますが、これは幾らなんでも…」


「あーん?俺は結構楽しい…け、ど……よ」


「……ッッッ!!!」


先ほどより更に真っ赤になったスネークに、笑顔が消え何故かがん見してくるバルド。
どこを見ているのかと思えば、普通にセバスチャンの上半身で特に何もついてない。
水の滴る髪を片手で掻き上げていると、急に前から衝撃が。
見ればスネークが抱きついてきていて、一体何事かとキョトンとする。


「っ、ま…前くらい隠せ…ってブロンテが言ってる」


「前?意味が…」


「あっクソ!スネーク邪魔だ離れろ、見えねえだろうがちくb…ゴホゴホっ俺は一抜けたー」


何かを言いかけて逃げ出したバルドに、ただ首を傾げるしか出来ない。
漸く離れたスネークは視線を彷徨わせ、セバスチャンと目を合わせる事がない。
スネークもバルドも、濡れて肌に張り付いたシャツを思わず見てしまったのだが
そこはやはり、透けて見えた乳首に思わず生唾を呑んだと言う状況だ




「セバスチャンさん見つけただよっって、うぎゃあああ!!!なななな、なんでそんなっ」



「メイリン?」


両手に水鉄砲を構え飛び出してきたメイリンは、セバスチャンの乳首にその場で撃沈した。
とりあえずメイリンとバルドがいなくなった事で、随分楽になったものだ。
フィニは二人が止めた事を言えば、渋るかもしれないが止めるだろう。
やっと屋敷がこれ以上濡れなくて良くなったと、ホッと息を吐いてシエルの元へと歩く。
スネークが真っ赤な顔をしたまま、隠せだの何か叫んでいるが何を隠せと言うのか…。







「なんだ、もう終わったのか?随分と濡れたようだな」


「全く、片づけが大変なのを分かってらっしゃるんですか?」


「勿論知っているさ、片付けるのは僕ではないしお前も随分涼しそうな格好に………おい!まさかその格好のまま来たのか!?」



バンと机を叩き立ち上がり、怒鳴りだしたシエルに首を傾げつつも肯定する。
何故か怒りを露にするシエルに、一体どうしたというのだろうか

スネークと言い、バルドと言い…この暑さで頭が参ったのではないだろうか。
そしてとうとうシエルまでかと、可哀想なものを見るような目でセバスチャンは見つめる。
その視線に気づき、ツカツカと荒だたしく近寄ると―…



「ん、ひゃんっ!!って、何をするんですか!」


「馬鹿かお前は!そんなイヤらしい乳首を晒して歩くなんぞ、はしたない奴だな」


「女性でもないのに隠す方がどうかと思いますが、坊ちゃん暑さで頭がオカシくなりました?大丈夫ですか?」



シャツから透けている乳首を、思い切りシエルが指で押し潰したのだ。
いきなりの暴挙に、思わず声が出るがすぐさま反論する。
その言い方が気に入らなかったのか、シエルはそのもやしのような貧弱な腕でシャツを引き裂いた。

流石のそれには、セバスチャンも言葉もない。



「…まだ理解出来ないようだな、僕が直々に教えてやろう」


「…ぼ、坊ちゃん?あの、ベッドが濡れますので」



「黙れ、命令だ」



命令まで出されてはどうしようもない。
半裸にされベッドに転がされ、これからどうなるのか…
考える事も放棄したくなってきた。


そうだ、きっと皆この暑さで頭がおかしくなったのだろう。

セバスチャンはこの暑い夏が嫌いになりそうだった





何より、自分に被害が出るのだから…





END
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