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□夏の暑さに頭が…
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「暑い」


「夏ですからね」


「なんとかしろ」


「流石の私にも、気温を下げるなどといった事は出来ませんよ?」


精々仰ぐとか、シエル自身に水浴びしてもらう他ない。
そう言い切るセバスチャンに、シエルは眉間に皺を寄せ睨みつける。
セバスチャンにしてみれば、睨まれようとも痛くも痒くもないのだから平然と流す。
それが更に気に喰わず、シエルの機嫌を損ねている…等というのは分かっていてやっているのだから余計に腹が立つ。



「……今日の仕事はもう終わりだ」


「…と、仰られますと」


「午後の予定はキャンセルして、あの屋敷を破壊しまくってる馬鹿共も呼べ」


シエルのその言葉に、嫌な予感がしつつも
出そうになった溜息を呑みこみ、3馬鹿+スネークを呼びに行く。
勿論タナカもだろうが、きっと彼は見学組に入るだろう事は確実
何を考えているのかは知らないが、この暑さは確かに辛いものがあるのだろう…。


セバスチャンに呼ばれ、比較的涼しい部屋の一角でシエルと使用人は向かい合う。
セバスチャンは冷たい飲み物を持って来いと命令された為、今は此処にはいない。



「坊ちゃん、一体どうしましたですだか?」


「ああ、あまりにも暑いのでな…何か涼むいい方法がないかと考えていたんだ」


「あ、僕プールがいいです!」


「あー…確かに水浴びしてぇくらいには暑いですからねえー」


「暑い…ですけど、水はちょっと苦手です。ってキーツが」


まあ、分かりきっていた事だが
水浴びになりそうな予感だ
ああ…スネークは蛇がいたか、まあ何とかなるだろう。
流石に馬鹿と言われる3人であっても、使用人と主人のシエルが一緒に水浴びをする事がよくないのは理解している。
それに先に使用人が涼む何かをするのも…


「タナカは別として、セバスチャンだ」


「セバスチャンさん?」


「アイツのあの格好は暑苦しい…という訳で、だ」


ニヤリと笑みを浮かべたシエルは、使用人達に命令を下す






「各自武器を持て、何としてでもセバスチャンを―…」













「何でしょうか、本当碌でもない嫌な予感がしますね。大方坊ちゃんの悪戯か何かでしょうが…」


しっかりと冷やしたレモネードを手に、思わず溜息を吐く。
確かに最近は暑すぎる、セバスチャンにとっては何ともないのだが
人間には辛いのだろう…、あのキリっとした主人がダレるくらいなのだから。

シエルの元へレモネードを運べば、呼んだはずの使用人の姿がない。
訝しげに明らかに何かを企んでいるシエルに、問いかければ―…



「これからゲームだ、セバスチャン」


「はあ…」


「あいつ等は各自お前を狙ってくる、まあせいぜい逃げろ…勿論あいつ等が屋敷を破壊しないようお前が見張る上にだぞ」



この…クソガキが

スネークは別として、ただ仕事をするだけでも屋敷を破壊するあの3馬鹿を
ゲームと称して野放し状態とは、確実に屋敷を破壊に導くだけではないか。
苛々してきたのを隠しもせずに、了解すればシエルは笑ってしっしと手で払う。


「では、失礼致します」


ああ、本当暑さなど何故あるのだろうか
お陰で自分がこうして被害を被る事になるなんて…
いっその事氷枕をシエルのベッドに敷き詰めてしまえばよかった…しないが







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