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□完璧な執事の弱点...
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「セバスチャン、野球拳とやらをやってみたい」



「は?」



事はそんなシエルの言葉から始まった
セバスチャンにしても、シエルのこういった突然の思いつきは日常茶飯事だった為
まさかこれが、どうなるかまでは想像すらしていなかった。

そもそも何故そんなくだらない遊びを知ったかといえば、原因はタナカだった。
仕事も一段落し、ゆるりとした雰囲気の中
バルドがタナカに話しかけ、故郷の話になった。
そこでポロリと零れたのが、野球拳
その話題を拾ったのが、冒頭でサラリと告げた主人であるシエルだった。



野球拳とは、
日本の某所に伝わる郷土芸能、宴会芸である。
だがシエルがやりたいと言っているのは、その本来の意味のものではない。
じゃんけんで負けた相手の服を脱がせるゲームらしく、お色気ゲームとしての野球拳をご所望らしい…。

負けて脱いで、確かに相手は屈辱を味わい一時の優越感に浸れるかもしれない
だが、ただそれだけだ。
何故そんなくだらない事がしたいのか、人間とは全く理解しがたい生き物だ。



「じゃあトーナメント式でいくか」


「はあ、このような遊びに本格的ですね」


「遊びこそ本気で楽しむものだろう、ほらさっさと紙に書け」


タナカとバルド
メイリンとシエル
フィニとセバスチャン

とりあえず適当に当てはめ、第一はこのメンバーになった。
勿論メイリンは女性な為、服の下に来たパジャマまでいったら負けという形になった。




じゃんけん、ぽん


「うぉおっまた俺の負けかよ!」


「ほっほっほ」


バルドとタナカはタナカの優位に進む。
いつもは燕尾服に隠れた肉体だが、タナカは年齢を考えると遥かに若々しい。
パッと見で言うならば、バルドより鍛えていそうな肉体だ。


じゃんけん、っぽん!


「ひぁああ!ワタシの負けですだああ」


「お前…何で後だしで負けてるんだ」


シエルが出した後に、何故か遅れて出してくるとういうのに負け続けるメイリン
あっという間にパジャマになり、シエルの勝ち抜き。



じゃんけーん、ぽんっ


「あ、僕の勝ちですー」


「ふむ、フィニはこういう事には強いんでしょうか…」


互いに譲らない接戦、まあやっているのはじゃんけんなのだが…。
シャツとスラックスだけのセバスチャン、靴とズボン…あと帽子のフィニ。
あいこが続く中、他の4人は既に終え二人の勝負を見ていた。
シエルとしては、さっさとフィニを負かし終えるのだと思っていたが
どうやらセバスチャンは、あまりのくだらなさに悪魔として優れている動体視力等一切使わず
適当に出しているようだった。



「あ、また僕の勝ちだー」


「おー、フィニの奴中々やるじゃねえか」


「せせせ、セバスチャンさんの肌、は、は裸っ」


「ほっほっほ」


そして暫くして、セバスチャンの負け続け。
普段邪魔者扱いされているバルドは、負けるセバスチャンが面白いらしく笑いながら見ている。
当然シエルもあの余裕の笑みを浮かべ、厭味を言うセバスチャンが負けているのは見ていて気分がいい…。


「僕連勝です!わーい」


「…また、私の負けですか」


「おうおう、セバスチャンよーどうせならズボンの方脱げって」


「え」


バルドの野次に、セバスチャンだけでなくシエルも固まる。
そんな二人の様子に気づく事もなく、バルドはその方が盛り上がるなんて言っている。
笑っているが、その目がマジだ。
シエルは背を冷汗が伝うのを感じる、面白半分でセバスチャンでからかおうと思っていたのに。



「これでいいですか」


「……GJ」


「は?」


「あっいや、何でもねえ!ってかお前男のくせに白すぎだろ!」


バルドの言った通り、シャツだけ残しスラックスを脱いだ。
本当に実行したのに、何故そんな事を言われなければならないんだと不機嫌そうに眉間に皺を寄せている。
それより、だ

その艶かしい生足を、何故晒す!!
それは僕だけに晒して、触れさせるものだろう!?
バルドの目がイヤらしいものだと、何故気づかない!
このっ…肝心な時にばかり鈍感になって、僕を翻弄するのかッ!!


「じゃあ続きいきますよー」


そんなシエルの内心など知らず、キラキラとした笑顔で手を挙げる。
今はその純粋無垢に見える笑顔が憎たらしい…



「じゃーんけん、ぽん」


「あ」


「またセバスチャンの負けか!何でも完璧だと思ってたけど、こういった事は弱えーんだな」


バルドが笑いながら、セバスチャンを視姦している。
やめろ!減る!!




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