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□それなりに本気(マジ)です
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「・・・あの、私は仕事があるのですが」


「そんな事よりボクを優先するべきじゃない?恋人ならさー」


「ええと・・・」



言ってしまえば、グレイも仕事がある筈だ
それをせずに、セバスチャンに会いにきているグレイに溜息しか出てこない。
シエルには問答無用で追い返せと言われたが、いくら主人でも女王の手紙を運ぶ相手を追い返す訳にはいかない。
手紙だけ受け取って、仕事が忙しいなら他の者に頼むべきだとか、帰るよう促すつもりだった。

だがグレイは言おうとした言葉をキスで押さえ込み、セバスチャンの手を引いて勝手に屋敷へと上がってしまった。



「大体、何故私の部屋を知っているんですか・・・」


「そんなの愛があればどうって事ないでしょ」



教えていない筈の自室へと、グレイは向かうとベッドに腰掛セバスチャンも隣に座るように促した。
言っても聞きそうになく、半ば諦めで大人しく言われたとおりにしたのに・・・
太腿に頭を乗せられ、動くに動けなくなってしまった。



「あー癒される」


「・・・男の膝枕なんて気持ちいいんですか?」


「えー?男なんてキモイよ、セバスチャンだから気持ちいいんだよ?恋人なんだし」


スリスリと頬擦りしてくる刺激に、思わず身体が跳ねる。
その反応が面白かったのか、やたらと身体を撫で回してくる。
シャツの上から乳首を押され、声がもれた―・・・



バンッ!!



「おい!何をしているんだ。毎回毎回懲りずに」


「はあ?セバスチャンと恋人なら当たり前な行為でしょ」


言い争う二人に唖然としているしか出来ない。
動こうにもガッチリと腰を掴まれていて、出来そうにない。
シエルの怒りの矛先はセバスチャンにきたらしい



「大体お前も家に上げるなと言っただろう!それになんだ、その・・・膝枕なんてしてどういうつもりだっ」


「私は「さっきからキャンキャン子犬みたいに吠えちゃって、男の嫉妬はみっともないよ?」


言葉を遮った上に、シエルへのその言葉
まさに火に油
悪化していく中、セバスチャンは身動きが出来ない。
以前書物で読んだ状況に、今まさになっている。
方や腰を掴み、方や腕をひっぱる・・・
自分の子だという二人の女性が、どちらが母か決めるというもので
子供が痛がるのを見て手を離した―・・・ああ、違う

どちらかといえば、子供の母親の取り合い



服を乱されシャツの裾から手が入り込んだとしても、強引に襟を引っ張られボタンが弾けとぼうとも・・・
セバスチャンにとってはまるで子供のようにしか映らず、ただ呆れたように見ているしか出来ない。
流石にコレがそういう目的での行動ならば、抵抗もするし混乱しているかもしれないが・・・



「ちょっと!何痕つけて「うるさい!僕の勝手だろう!お前こそ手を離せっ」ほんっと、ナマイキだよね」


こんな低レベルないい争いの中では・・・



「キミね、そのうち馬に蹴られるんじゃない?」


「フン、知るか大体言い寄っているだけだろ・・・あっ!触るなと言って―・・・」


「ひ、やんっ!!・・・・・・ぁ」



言い争う口はピタリと閉じ、ジッとセバスチャンを見つめる2つの視線
グレイがセバスチャンの乳首を触ろうとするのを、阻止しようとシエルが手を伸ばし・・・
結果、二人で乳首を押す仕草になってしまったワケで
突然の刺激に、セバスチャンは思わず声をもらしてしまった。


・・・沈黙が、痛い



「・・・今日の所は大目に見てやる」


「へぇ、お優しい伯爵様だね・・・まあボクも今日はそろそろお暇するよ」


あっさりと離れた二人に、首を傾げるも
この状況が良くなるのならば、どうでも良かった。
グレイは去り際にちゅっと音を立て、セバスチャンにキスをして去っていった
その際隣で息を呑む音と、殺気を感じたがこれ以上気にしては精神的に疲れそうなので忘れる事にする。



「じゃあねセバスチャン、全くパパはいい加減娘離れすればいいのにねー」


「っ誰が!」


「だってボクは正式に結婚を前提にお付き合いしてるんだからさ、そこはご主人様としてその態度はどうなの?」


あははと笑いながらドアを閉め、言い返せなくなったシエルはこの怒りをどうしてくれようと身を震わすが
ハッとすると走り出した
いきなりの行動にキョトンとし、ただシエルが走り去ったのを見ているだけしかできなかった。


・・・先程の沈黙から様子がオカシクなりましたし・・・、何故?



グレイは言う事言いつつも、いつもと違い少々前屈みで立ち去ったし
シエルも同じ姿勢で・・・





「・・・よく分りませんが、仕事に戻っても大丈夫そうですね」


懐中時計を見て、溜息を溢す
大幅に予定を過ぎてしまった・・・


とりあえず



「着替えますか・・・」



この服では、仕事は出来そうにありませんし・・・







END
勿論二人共セバスの声にアレが元気になったわけですね、はい
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