MAIN

□それなりに本気(マジ)です
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「で、いつ進んでいい訳?」


「主語くらい言ったらどうなんですか?」


「そんなの、キス以上の事に決まってるじゃん」



そんな事も分からないなんて、可愛いね君は
なんてサラリと吐かれても、セバスチャンは男でグレイも男・・・嬉しい訳がない。
ついでに言うが人間の女性に愛を囁かれようとも、別にそれも嬉しいとは思わないのだがこれはおいておく。

今日も女王からの手紙を持ってきたのはグレイで、すぐ帰るのかと思えばそのままセバスチャンにくっついて離れない。
そんな訳でセバスチャンは手紙が来た事すらシエルに報告すら出来ていない。



「何食べてるんですか、止めてください!」


「えーいいじゃん、美味しいし」


「それは坊ちゃんのです、貴方の分は…あっ!全部食べっ」


話している間に全部食べてしまったグレイに文句を言おうと開いた口は、そのまま全て言う事もなく塞がれた…口で。

目を見開いて固まった事をいい事に、グレイは段々と深くキスをする。
舌を絡めた時にビクリと身体を揺らし、ハッとしたのか抵抗して来た。



「ん、んんっんー!!」


「…嫌がってるわりには感じてるよね」


「っ!やめ…ひ、ぁんっ!」


尻をすりすりと撫で上げれば、色のある短い悲鳴があがる・
バッと自分の口を塞ぎ、先程発せられた声が自分のものとは思いたくない…が、多分自分のものだと。
真っ赤になってその状態で固まったセバスチャンに、グレイも目を瞠って固まっていた。


…何だこの可愛い生き物は



「…何を、しているんだ」


子供特有の声変わりする前のもの、それがドスを含むとこうなるのか…と思わせる声が響く。
グレイが背後を振り向けば、こちらを睨み付けて立っているシエル。
セバスチャンはまだ固まったままで、どうやらシエルが来た事にすら気付いていないようだ。

シエルと目が合うと、グレイは不敵に笑って見せる。
ピクリとこめかみを痙攣させ、シエルは引き攣りそうになるが笑みを浮かべる。
ここで言うならば火花が散る、と例えるのがあっているだろう。



「セバスチャン」


「っあ、坊ちゃん?」


「何をしている」


当にアフタヌーンティーの時間は過ぎており、時間に煩いはずのセバスチャンが来なければ誰でも怪訝に思う事だった。
シエルの姿を見て、自分の状況を思い出し油断していたグレイの腕から逃れた。

残念そうにしながらも、グレイも流石にこれ以上は何かをしようとは思わなかったらしい



「今日はスイーツはいい、それよりー…」


「あ、ボクは帰るからお構いなくー」


追い出されてるよりは、自分から出て行くほうがいい。
グレイは笑顔で手をヒラヒラと振って、何事もなかったかのように…セバスチャンの尻を撫でて厨房の裏口から出ていった。

厨房内には沈黙が続く。
流石にこの空気の状態のまま、厨房にはあれほど入るなとー…なんて言える程馬鹿ではない。
言おうと思えば出来るが、そうした事でその先に待っているのは望まない事ばかりだろう。
グレイに尻を撫でられた瞬間、声は漏らさなかったがビクッと肩を跳ね反応してしまったのだが…
そこから更にシエルの機嫌が悪くなったのを感じた


…しかしそこまで機嫌が悪くなるほど、グレイさんが嫌いなのでしょうか




「お前は隙が多すぎるんじゃないのか?悪魔が聞いて呆れる」


「…そう、かもしれませんが。大体男である私にああいった行為をするなんて誰が想像できますか?」


「……」



コイツは馬鹿だ。
シエルは今そう思った、激しく
一応自分の容姿が人間受けするように作っているらしいので、その点はいいのだが…
どうやら同性相手にそう見られると言った事までは、頭が回っていないようだった
普段の勘の鋭さはどうした、全てを知っているさえ思わせる言動はー…



「坊ちゃん?」


「…もう、いい…とりあえずお前は口でも洗っていろ」


「口…ッッ!!!失礼します!」


口と言って、先程の事を思い出したのか青褪めて何処かへ走り去ってしまった。
流石に行為のあった厨房で、それを見られた主人の前では口を洗う行為も恥ずかしいらしい。



「…アイツ、どうしてやるべきか」



僕のモノに手を出して、ただで済ます訳にはいかない。
抵抗しなかったセバスチャンにも非はあるが、それとこれとは話が別だ。








「グレイ?何かいい事でもあったのか」


「分る?未来の奥さんに会いに行ってたんだよねー」


「奥さん…?おめでとう、と言うべきか?」


「あはは、ありがとうって言っておくよ」



式には呼んであげると、笑顔のまま去ったグレイにフィップスは気持ち悪い…と思ったらしい。




END
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