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□理想の奥さん
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「小さな事まで気づき、さり気無くやってのけ、しかも完璧ときたらやはり嫁にするしかないだろう!」
「何だっていう訳!?さっきも仕事帰りの夫みたいに当然のように上着渡してさ!君の奥さんじゃないんだよボクの奥さんなんだよ!」
「グレイ、言いたくなかったんだがお前は女顔だ…見た目だけで言うならお前がよm「黙りなよ!ボクが旦那様なの!夜の営みは勿論ボクがあんあん言わせる側なんだって――
…さて、仕事がまだ残っていましたね
嗚呼午後からお客様もお見えになる予定でした、準備をしなくては
バルドは何やら大人しいですが何かしてないでしょうね、それより一番最初に目につく庭の方が心配ですね。
今日の所はフィニは回収しておきましょうか
何やら周囲が煩いですが気にしません、これはただの雑音です。
そもそも悪魔で男で長身の姿の自分を、何故嫁だのなんだの
最期のあんあん言わせるとは何ですか?
男が喘いだ所で気持ち悪いだけだと思いますが、自分で想像するだけで鳥肌が立ちます。
女王陛下の直属の部下にあたる彼等ですが、最近忙しいようですね
きっとだから頭が少々ヤられただけでしょう、ココは疲れの取れるハーブティーでも淹れるべきでしょうか
現実逃避をしつつ、思ったことは即実行
このまま放っておくと破壊されそうな勢い
その為不本意ではあるがハーブティーでも淹れて落ち着かせる事が、今の何よりの優先事項だと判断する。
「何何!ボクに淹れてくれるの!?」
「何を言っているんだグレイ、俺に決まっているだろう」
「お二人にです!…ふう、とりあえず落ち着いてもらえませんか?」
漂ういい香りに誘われるように、言い争いをしていた二人はふらふらとセバスチャンに近寄ってくる。
座るように促し、さっさと…とは言っても丁寧に素早く紅茶を淹れる。
大人しく飲んでいる姿にホッと息を吐く
正直あの状態のままだったら、抓み出してしまおうかと思っていた。
例え女王陛下の直属だと言えども、今回は別に女王からの伝言でもなく私用なのだから。
「大体私が何故妻ポジションなんでしょうか、性別的に可笑しいでしょう」
「「全然」」
「…」
ちょっと所か、相当頭がおかしいようだ。
セバスチャンはつい可哀相なモノを見る目で見つめてしまう。
人間にはつくづく驚かされます、理解できない思考をお持ちなようで…
「だからさ、ボクは君の作った料理が毎日食べたいの。出来れば王道的なあーんして食べさせるってのもしてみたいのは他ならぬ君だからなんだけど」
「仕事前に上着を着せるのを手伝ってもらったり、言わなくても気づいてくれる心遣いに癒される毎日…俺は、お前の膝枕で昼ねがしたい」
「………」
「ボクの奥さんになってよ」
「俺の嫁になってくれ」
…いい加減追い出してしまおうか
バーン!!!
「そ、それを言うならば私とてセバスチャン殿と夫婦になりたいです!」
…何か増えた。
いや何かっていうのも分かりきっているが
ドアを蹴破って入ってきたのはアグニで、その後ろに見えた物体はもう存在を消してしまいたい。
「執事大集合ってやつかしら〜ならアタシだってセバスちゃんと―…「君は何か違うから邪魔」
セバスチャンの視界に入る前に、赤い死神はご退場となった。
そんな状況にセバスチャン本人は遠い目をしたまま、現実逃避していた。
右手をアグニ、左手をグレイ…そして何故か顎をフィップスに取られる
「ちょっ何で顎すくってんの!」
「仕方がないだろう、触れれる場所がここしかなかった」
「せ、セバスチャン殿!!」
三人に迫られ、嫌でも現実に引き戻される。
「「「結婚して下さい」」」
「…多夫一妻というやつですか?そうですか」
もうどうでもいいかもしれない
とりあえず、仕事に戻らせて下さい。
後日夫気取りの三人によって付き纏われ、シエルの不機嫌MAXにより三人は締め出しを食らった。
「今思ったけど、もし結婚したとしてボク達名前同じなんだけど」
「あ」
「妻に個人的に名前で呼んでもらうのが夢なのに…多夫になったら叶わないじゃん」
END