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□番外
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痛みを感じないものの、頭がクラクラする
目を開ければただそこは暗闇が広がる


大通りとは打って変わり、荒れた裏の路地
比較的に綺麗な方であろうゴミ溜めに、転がっていた。















「あ?なんか、いる?」


声が聞こえても、反応を返さないソレに
声を発した青年は眉を寄せる。
一応此処は自分で勝手に決めた所謂縄張りのような場所
よくよく目を凝らせば、転がっていたのは人間
反応がない事に、死んでるのかと溜息を吐く


「誰だよ死体なんてここに捨てたやつ…は」



顔を覗き込んで息が詰まる
反応こそないが、決して死んでいる訳ではなかった
虚ろな瞳は虚空を彷徨い、まるで人形のようだと思った。



「って、生きてんのかよ…」


頭をワシャワシャと掻いて、どうしたものかと唸る。
所詮自分は拾いものをして生きているし、一人二人増えようと何気に困らないくらいは余裕がある。
世間一般の家庭の人間から見れば、その身なりで何を言っているのかと嘲笑するだろうが…



「おーい…立てるかー」


無駄だとは思ったが声を掛けてみる。
予想通りなにも反応はなし、大げさに溜息を吐く
衣服も皺が寄っていて、それも上の服のみで下は穿いていない。
下部を伝うものは嫌というほど見覚えのあるもので、何があったのかなど一目瞭然だった。

仕方なくこのまま放っておくのも後味も悪いと、抱き上げる。
思った以上に軽く思わず腕の中を覗き込む


「…、」


「あ」


何か聞こえた気がする。
声は出るのかと考えながらも、自分を見上げる見た事のない赤い瞳に魅せられた。



抱き上げた事で漸く返った僅かな反応に、何故か嬉しいと感じた。



「お前拾ったのも何かの縁だし、ま。こんな所にいても風邪引くし…歩くぞ」


灯りの少ない殆ど暗い路地を、迷い無くしっかりとした足取りで歩く。
自分はそれなりに綺麗なものが好きだ
だから今日此処に来て、コイツを拾ったのはついていたのかもしれない。


綺麗なルビーのような瞳



子供のようだと思いながらも、宝物を手に入れたような気分だった










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