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□4月1日が何か?
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4月1日とは言わずとしれたエイプリルフール
四月馬鹿、愚人節、Poisson d'avril…
色々な言い方はあるものの、ハッキリいって何がしたいのか意味がわからない。

日本では「日ごろの不義理を詫びる日」だったのではないんですか?
それともこの文献は古すぎたのでしょうか…



「セバスチャンさん!おはよーございます!!」


「おはようございます、今日は起こさないでも起きたんですね」


「はい!何か目が覚めちゃって」



…フィニアンは除外でしょう、馬k…とても純粋ですからね、彼は。
こんなくだらないイベント毎なんて、出来れば知らないでもいいと思う。



「そういえばバルドさんが言ってたんですけど、エイプリルフールなんですよね?」


「…ええ、そうですが」


「僕あまりそういうの得意じゃないし、嘘ついたらオヤツ抜きだって言われたんで何も出来ないんですよー」



嘘や冗談が得意というのもあまり良いとは言えないのだが…。
それにしても誰がオヤツ抜きだと?
どうでもいいですが、こういった類の人間がこの手のイベントに騒ぐのは嫌いなのでいいでしょう。
悪意がない分面倒臭い



「バルドも起きているのですか?」


「はい、今日は皆起きてるんでセバスチャンさん呼びに来たんですよ」


起こす手間が省けるのは助かりますが、毎日こうだといいんですけどね…
メイリンはとりあえずエイプリルフールだからと言って、何かをしてくる事はないだろう。
面倒なのはバルドだろうか…

始業前に集まる部屋に行けば、いつもは寝起きでだらけているバルドはしっかり起きていた。



「―では今言った通り、仕事を始めてください」


「はーい」


「はいですだ!」


パタパタと扉を開けて出て行った二人の後姿を見て、気づかれぬように溜息を吐く。
一人部屋に残っているバルドに、どう対処しようかと考える。
残った事から、このくだらないイベント毎に参加しているのはわかっている。



「なあセバスチャン」


ぐいっと肩を掴まれ引き寄せられ、耳元で囁かれる。
何がしたいのか分からず眉を寄せる



「昨晩はお楽しみだったみてぇだな」


「…は?」


「俺ぁ見たんだよ、坊ちゃんとアンタの…それにしてもあんな顔出来るんだな…ついソレで抜いちまったぜ」



………ああ
何が言いたいのか理解し、溜息を吐く。

くるりと身を翻せば、力を抜いていた手は離れ向かい合う形に立つ。



「覗きは悪趣味ですよ、バルド」


「へ」


「まさか貴方が見ていたとは知りませんでした、ですがくれぐれも他の使用人達には他言しないようにお願いしますね」


悪影響ですから。
そういい残すとさっさとドアを開けて出て行く。
仕事もあるのだからのんびりと、どうでもいい会話をしている暇はない。

部屋には一人唖然と情けなく口を開けたままのバルドが残されていた。


「っ…ま、マジで…か?」


バルドとしては先程の言葉は冗談であり、今日がエイプリルフールだからの言葉で…
なのに顔色一つ変えず、言われた本人は釘をさして行ってしまった。
両手で頭を抱えその場にしゃがみ込む。



「いやでも今日はエイプリルフールだろ?それをセバスチャンが知らねぇ筈は…まさかさっきのも嘘?いやマジな場合もありえ…あ゛ー!!!」


わけわからねぇ!!













「おはようございます、坊ちゃん」


「…ああ」


寝癖のついた髪のまま、眠そうに返事を返しつつ起き上がる。
まだ完全に覚醒していない状態ならば、面倒事にはならないだろう…
そんな事を考えつつも素早く尚且つ丁寧に優雅に給仕をこなす。
今日の予定を読み上げた所でも、シエルの反応がない事から
このくだらないイベントは興味がないようだとホッと息を吐く。

朝食の準備があると部屋を後にし、ドアの閉まる音にシエルは顔を上げる。



「…ああ、今日は4月1日か」










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