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□我侭聞いてください!
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とにかく気になって、ただ見ているだけでなんだか嬉しくて。
話していると幸せを感じる
手作りの美味しい料理を食べると、本当にもうどうにかなってしまいそうな感じ



「セバスチャンさーん!」


大好きな人
子供っぽいし、失敗ばかりで
力加減が出来ずに、いつも壊してばっかり。
そんな自分とは真逆の存在の、屋敷の有能な執事であるセバスチャンが…



「フィニ?おやつの時間はまだですよ」


「違いますよー僕はただセバスチャンさんが見えたんで、来ただけです」



柔らかな笑みを浮かべて、髪についていたらしい葉を取ってくれた。
そう、今でも信じられないけれど夢ではない

誰も思わないんじゃないかな

僕とセバスチャンさんが恋人になったなんて



「フィニ?」


「えへへーセバスチャンさん大好きです」


「ありがとうございます、私も好きですよ」



失敗すれば怒られるし、怖いけど
仕事をちゃんとしたり甘えてるときは、すごく優しい。
以前までは見た事のない表情だって、見せてくれる。
この屋敷の使用人である以上、一日中一緒にいれるという事はまずない。
それにセバスチャンさんは僕達が仕事を終わったとしても、まだ他にもやる事が沢山残っている。

そう思うとすごく迷惑を掛けてるんじゃないかと不安にもなる
だから一生懸命失敗をしないように努力しても、余計に失敗したりして…



「何を考えているか知りませんが、貴方は貴方らしくあればいいと思いますよ?」


「そうですか…?」


「ええ、私はその方が好きです」


にっこり笑いかけられ、顔が熱くなる。
ぎゅっと抱きしめれば優しく撫でられる
正直抱きしめたいとは思うものの、身長の関係で抱きついているようにしか見えないのがちょっと悔しい。

仕事も忙しそうなので、寂しいけれどセバスチャンさんからそっと離れる。

『また後で』

そう言って背中を向けて、去っていく。







「あー…なんだろう、幸せなんだけど」


幸せ、すっごい幸せなんだけど
どんどん我侭な思いが増えてきた気がする、どれも全部言っていないけれど。



「僕は此処にいれるだけでも幸せなのに」


これ以上何を望むんだろう
































カチャリと音がして、もぞもぞと布団から顔を出す。
遅くまで仕事をしているセバスチャンとは、すぐ寝てしまう自分では夜遅くはあまり話せない。
ただたまにこうして遅くに会いに来てくれるのを、最近ようやく知った。
なんとなく起きた時に、セバスチャンがいたのに驚いたのだが
その時にいつも来ている事を教えてくれたのだ。



「起こしてしまいましたか?」


「んー今日は起きてたんです」


「眠れないんですか?」



いつもは例え起きていたとしても、寝ぼけ眼であったりと
こうしてしっかり起きている事はない。
目を軽く瞬かせ、首を傾げる



「セバスチャンさん…」


もごもごと言い辛そうにしているフィニに、ますます訳がわからない。
そっと近づけば、腰に腕が回され抱きつかれる。

布ずれの音がし、其方を見遣ればどうやらバルドまで起きてしまったようだった。



「んあー何でお前がいんだ?」


「起こしてしまいすみません、ええと…フィニ?」



抱きついて顔を埋めたまま、黙っている。
こう静かなのは本当に珍しく、どう対処するべきか分からない。
バルドに視線で助けを求めてしまうが、彼自身首を振って無理だと告げる。



「俺だってわからねぇしよ」


「…そうですか」









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