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□すきすき、だいすき
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この状況は一体どういう事なのか
何故か厨房の外にいたシエルとヴィンセントに、思わず厨房の中にまたひっこんでしまった。
まさか無視をした仕返しに…?
足音が近づくのに多少諦めが入りながらも、後退る



「い、いけません…このような所に来られては」


そう言ってみるものの、全く聞いてもらえそうにない。
ずかずかと厨房にまで入ってくるので、腰にトンっと調理台がぶつかるまで下がっていた。



「セバスチャン、今朝は悪かった」


「…え?」


「私も大人気なかったね、反省しているよ」


なんだろうかコレは
あの坊ちゃんが謝ってきた、それもいかにも反省しています…といったご様子で。
旦那様は珍しい事ではないですが、これも様子がいつもより真面目で…
正直、ドキっとしたのは内緒です。



「でも分ってほしいんだ」


あれ、何か声が近い…


「君が好きだからついからかったり(反応が可愛いし)、苛めてしまうんだよ(泣き顔がそそる君も悪いと思わないかい)?」


すぐ傍まで来ていたヴィンセントに右側からそっと耳元で囁かれ、思わず身体が震える。
言葉の中に何気に隠れていた本音には、気付けなかった。


「大体お前がお父様ばかり優先するから、僕が不機嫌になっているのをいい加減理解しろ」


「坊ちゃん…?」


そういう事だったのかと、言われて漸く分かった。
調理台に腰掛、自分と目線を合わせているシエルに嬉しそうに笑いかける。
この際行儀が良くない等は言いはしない。

好いているからこその行動だと、改めて言葉にされるのは随分久しぶりな事で
忘れていた事だった。
シエルは嫉妬で多少手酷い悪戯をしていたのだと思うと、今までの辛さもいい思い出かもしれない。



「好きだよセバスチャン」


「好きだ、セバスチャン」


右手をヴィンセントに、左手をシエルに取られ両頬にキスを受ける。
真っ赤になって俯くしか出来ないセバスチャンを、二人は優しい眼差しで…



(ああ、そんなに赤くなって…襲って欲しいのかな?)

(…コイツ誘ってるのか?)


…見てはいなかった。





夕食は終始ニコニコしているセバスチャンに、ちょっかいを掛ける二人
だがセバスチャンに嫌がっている感じもない事から、仲直りは出来たようだとレイチェルも微笑んだ。



「セバスチャン、舌を火傷した…舐めろ」


「大丈夫ですか?冗談はおいて、冷やしておきましょうね」


「セバスチャン、ワインを零してしまったんだけれど拭いてもらえるかな」


「…そ、そこはご自分でお願い致します」



ああ、でも…そんな三人の見ているだけというのも飽きてきたかもしれない。


「セバスチャン、パンを落としたから取ってくれるかしら?」


「お母様!?」

ガタリと音を立て椅子からシエルは思わず立ち上がる
笑って胸元を指せば、予想外だったのかセバスチャンは固まっていた。


「レイチェルもかい?」


「だって二人だけなんてずるいじゃない」



私だってセバスチャンは可愛いから大好きだもの







END
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