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□Sweet sweet...
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「疲れが溜まっているのではありませんか?」



「…そうかな」



ベッドに二人で寝転がったまま、特に何をするでもない。
ただセバスチャンの腰には手を回して、起き上がらないようにはしているけれど…
折角作ったケーキと淹れたての紅茶は少し口をつけただけ
勿体無いとは思いながらも、実の所食欲はあまりない。

心配そうに見つめてくるセバスチャンに、ただ苦笑するしかない。




「たまにはこうやってお昼寝というのもいいと思わないかい?」



「まあ、たまにでしたら。ただお召し物が…」



皺になってしまう。
そう言いたいのだろうが、あえて言わない。
いつもならばその辺りを気にしてくれるのに、起き上がろうとしないのは余程疲れているのだろう…。




「夕食までお休みになられますか?」



「…そうだね、勿論君も一緒だよ」



「え、私は…」


色々と準備もあるのですが…。

だがこの調子では絶対離してもらえなさそうにない…
何もシェフがいない訳でもはないし、自分がしなければならないという事でもない。
諦めて身体の力を抜けば、抱き寄せられた。



「抱きしめていては休めませんよ?」



「この方が落ち着くからいいんだよ」



そっとシーツを手繰り寄せ、自分とヴィンセントに掛けた。
やわらかな日差しが差し込む部屋は、心地よい温かさで眠りを誘う。
自分は睡眠を必要としないが、とれないという訳ではない。
目の前の眠りにおちた主人を見遣る…。

安らかな寝顔に、苦笑する。
契約を交わした悪魔を抱いて寝るとは、本当物好きだ。

そう

そんな人間にココロを許している自分もまた、物好きなのだろう…。









「ゆっくり休んでください」



それが束の間の休息なのだとしても
例え進む道が闇で覆われていようとも、貴方が望むのなら、どこまでもお供致しましょう


心地よい温もりに、腕の中で目を閉じる


二人だけの時間が終わるまで…









END
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