捧げてみたり 頂いてみたり
□僕と瑞希と呼び方講座(仮)
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「瑞希ちゃん?」
「ふふ、なんだか小学校の時に戻ったみたいですね。」
「瑞希…ちゃ、ん」
「ふふ、なんだか小学校の時に戻ったみたいですね。」
「瑞希!ちゃん!」
「ふふ、なんだか小学校の時に戻ったみたいですね。」
「ねえ姫路さん、」
「ふふ、なんだか小学校の」
「ね、姫路さんもういいよね?目が怖いよ!」
さっきから話題がまったく変わらない僕らの会話ともいえない会話。
ある冬の昼休みのこと、姫路さんと二人でお弁当中のこと…なんだけど。
「明久くんは私の彼氏なんですから瑞希、って呼んでくれないとやです。」
こんな風に僕に名前を呼び捨てでよんでくれ、と要求してくるわけだ。
「でも、姫路さん」
「瑞希です」
えっと、姫路さんは姫路さんでも瑞希…で姫路さん、だからやっぱ姫路さんなわけであって…
「やっぱり慣れないから恥ずかしいよ、姫路さん、」
それに前も話したように名前で呼ぶのはちょっと…なんだから。
「だって特別な関係になれたのに…」
「あ、僕は呼び方とかは気にならないで姫路さんを好きだよ?」
「ああ、っいきなりなんですかっ!そういうもんだいじゃないんですっ」
さっきまで恐怖さえみえかくれする無表情だった姫路さんがいきなり真っ赤になって大声を上げる。僕、なんか言ったかな
「それとも姫路さんは僕が瑞希、って呼ばなきゃ嫌いになっちゃうの?」
「そんなわけないですけど…」
「じゃあさ、瑞希」
顔をぐい、と近付けてみる。まだ姫路さんは真っ赤なままで。
だけど可愛かったから唇に自分の唇を当ててみる。
「じゃなくても、いいよね?」
「わわ、わたしのっ負けです」
たまにはこんな日もありじゃないか、と。
END
(…いい写真が撮れた)
(……雄二、わたしたちも)
(ええいっ!顔を近づけるなあっ!)
(悔しい!悔しいけどお似合いだわ!)
(…ワシは見れなかったのじゃ…残念なのじゃ)
おしまい