僕とみんなと短編と!
□団扇と扇風機と方程式
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テーブルの上には夏休みの宿題と問題集。そしてコップが汗だくな麦茶が2つ。
「で、ここはx=12になるわけ」
夏休みの宿題を持って翔子がうちにやって来て小一時間。
「…解けた。雄二、ありがとう」
わたしもやりたいと俺のやっていた中一の数学問題集の方程式を解いた(俺が教えながら)翔子は笑顔を弾けさせた。
「…いや、別にそれはいいんだが。お前はなんで俺ん家にいるんだ?」
「雄二に会いたかったから」
さっきのような笑顔を見せる翔子
「そうか。」
「うん」
「じゃあ帰れ」
「…なんで、雄二はわたしに会いたくなかったの?」
「別に」
俺はさっさとその問題集を終わらせて次の問題集に移りたい所なんだ。
「…わたしは雄二に会いたかった」
「…勝手にしろ」
「…じゃあ勝手にする、雄二が終わるまで待つ」
そう言ったかと思うと翔子は本当に勝手に扇風機を回す、そして扇風機の前に陣取る。
俺が問題集にせっせと取り組んでいる横で扇風機の前に陣取った翔子はマンガを読みはじめやがった。
もちろん俺に扇風機の風は来ない。
「…翔子、お前そこどけろ。」
「…なんで」
「風が来ない」
「…雄二好きにしろって」
「…はあ」
どうやら翔子がスネた。
まともに話が通じない。
しょうがないから団扇で自分を扇ぐことにした。
「…ねえ雄二」