「染岡くん!」「染岡くん?」「そ・め・お・か・くん!」
なんで染岡くんって何回言っても飽きないんだろう!!!

○それほど、君と○

「染岡くん!」
「なんなんだよ…さっきから」
「染岡くんが染岡くんって名前でホントによかったよ!」
「はぁ?」
「佐藤とか田中とかだったらまた違ってたかもしれないしね」
染岡くんが少し僕に心を開いてくれたある日のキャラバン。こういう他愛もない会話ができて僕は凄く嬉しかった。
ああ…もうちょっとデレてくれないかな?なんて思いながら「バカじゃねーの」とか憎まれ口を叩く染岡くんの肩に頭を預ける。
「おまっ…!!」
「染岡くんの肩の位置がちょうどいいんだもん」
「なぁ、吹雪…最近、おかしくないか?俺に対して」
「そうかな?そういう染岡くんも最近デレてくれてるでしょ。うれしい」
「デレるってなんだよ。デレるって。」
「デレるはデレるだよ。」
「答えになってねーし」
会話の内容も無くなり、僕は肩に頭を乗せたままぼーっとする。
急に大人しくなった僕が気になったのか染岡くんは「おい、吹雪?」と顔を覗いてきた。
ち か い !!
こういう女の子がしそうなことは慣れてるはずなのに染岡くんってだけで凄くドキドキする。顔が赤いかも。キャー!
染岡くんの悪いところは意識しないでデレを見せるところ。染岡くんはデレてないつもりでも本人が知らずに天然でデレてるからこっちが困る。
そんなことを考えてると更に心配になったのか「おい!吹雪!」と強めに呼ばれた。僕はとっさに「ご、ごめん」と返す。
「ったく。」
「染岡くんがあまりにも可愛いからぼーっとしちゃった」
「……目腐ってんじゃねーの」
「視力はかなりいいんだよ、両方2.0だもん」
「なら頭が腐ってる」
「そろそろ自分が可愛いと自覚しなくちゃ襲われちゃうよ!」
「誰にだよ!!」
「僕にだよ!!」
「お前かよ!!ってはぁ!?ホントマジで吹雪どうした?熱あるんじゃねぇか?」
「染岡くんへの愛は燃えてるけど、体温は正常さ。それに僕はいつも通りだよ。」
「あーはいはい」
「冗談って思ってるね?」
「当たり前だろ。」
「なら証拠見せてあげる」
「証拠って…ッ!?」
本気にしない染岡くんに対して僕は証拠を見せることにした。
その証拠とは唇同士のキス。わからず屋のお姫様に王子様のキスで目覚めてもらうよ。
僕は染岡くんの顔を掴んでキスをする。キャラバンの中だってこと
すっかり忘れてた…ま、いいんだけどね。
だけど、一部始終を全員に見られた訳で…それを染岡くんが許すはずがない訳で…
その後、怒った染岡くんに席替えをされた。
うぅ…あんな近かった染岡くんが遠い…
「染岡くん!」
「…………」
「染岡くん?聞こえてないのかな?」
「…………」
「そ・お・か・くん!」
「うっせぇ!黙って座ってろ!バカ吹雪!!」
「だって染岡くんが見えない!」
「当たり前だ!見えないとこに座ってんだから!お前さ…なんで、そこまで…」
「だって!」

それほど、君と

(ずっと、一緒に居たいんだもん!)
(お前の気持は十分わかった。とにかく場をわきまえろ、場を)
(じゃあ、わきまえたらいいってことだね!わかった!)
(はぁ…突き放せない俺も俺だな…)


END


○○○○○○○○○○

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