STORY

□約束
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---ジリリリリリリリッッッッッッ
音が鳴ってる。うるさい、何の音やろうか。父ちゃんがなんかやっとるんか。
サファイアは意識を眠りの底から浮上させた。
いやこれは、ルビーが前に買ってきてくれた目覚まし時計だ。
朝ちゃんと起きられないあたしにってわざわざ。
---夏はいいっちゃけど冬は寒いけん無理とよ。
それにしても何故今日はこんな早い時間からなっているのだろうか。
昨日の自分は何を考えてたんだっけ。
そんなことですら思い出せない。
窓のほうを見ると日は昇っていた。が、部屋はとても寒い。それに
「あたしはまだ眠いとよ」
そういって音を止め再び眠りについた。
が、しかし





-------------やばい。これはやばい。
サファイアはあせっていた。
なぜなら今日はルビーと会う約束をしていたからだ。
5分10分ならまだ彼は許してくれるかもしれないが、時計の針を見ると・・・もう待ち合わせの時間から30分過ぎていた。
今から準備しても少なくともあと20分はかかる。
とりあえず、ルビーに連絡せんと・・・
いつものバッグからポケナビを取り出して開くが画面が表示されない。
壊れたのか、こんなときに限って。
サファイアはそう思った。実際にはただの電池切れだが。
これ以上もたもたしてられない。こうしている間にも時間は一刻一刻と過ぎている。
幸い服装は昨日自分で見立てておいた。丸一日かけて決めたとっておきのコーディネート。
そうしてばたばたとサファイアは準備するのであった。


今日の約束はただの約束じゃない。
サファイアは今日、ルビーと初のデートの約束をしていたのだった。
今まで彼と一緒に買い物をしたことも、遠くに出かけたこともあったが、
サファイアの父であるオダマキの研究の道具だとかポケモン大量発生のことについての調査だとか、そんなつまらないもの。
しかもそのときはちゃんと"恋人"ではなかった。
今回は"恋人"となった二人にとって初めてのデート。
もちろん今日の日のことを楽しみにしていたのはサファイアだけではない。
今彼女が待たせている彼、ルビーも当然この日を心待ちにしていた。
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