番外編
□彼女の正義
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「ルビア、お前には正義超人として様々な技術、熱き魂を教えてきた。」
だが、小柄なお前はどうしても大柄な超人との対戦になった場合ハンデが大きい。
特に、悪行超人はそんなのお構い無しに卑劣な手段を使ってくる場合もある。
それでだ、お前には、クリーンではない、それに対抗するための戦い方も教えておく。
──賢いお前なら、使い時を見誤ることは無いだろう。
「本当に俺でいいのかよ…」
「今回はむしろスカーじゃないと」
元悪行超人のね。
そう語るルビアの目は笑っていない。
だがルビアがそうなるのには訳がある。
突如現れた目の前の男達は、万太郎たち新世代正義超人に宣戦布告を行い戦いを挑んできて、もちろん万太郎達はそれを受け入れ試合が始まった。
そこまでならまだ良かった。
だがあろうことに奴らは正々堂々戦っている万太郎達に対して卑劣、卑怯ともいえる手段で勝利した。
「なんだ、正義超人と言っても大したことねぇんだな」
卑怯な手を使っておいて極めつけにはこのセリフだルビアの入ってはいけないスイッチが入るのも無理はない。
「次は私が相手だ、リングに上がれ」
そしてルビアのこの挑発である。
ルビアの挑発に相手は見事に乗っかり、試合する事になった。
だが相手は「タッグ」での試合を叩きつけてくる。
ここまで来ればもう売り言葉に買い言葉、ルビアもそれを了承して3日後試合が行われることになった。
「というわけでスカー、私とタッグを組んでほしい。」
この通り。
深々と頭を下げて頼まれては断ることなどできない。
まぁ元より奴らは俺も気に入らねぇ、やる気は満々だった。
だが、俺でいいのか、という疑問が生まれ初めのやり取りに戻る。
「元悪行超人なら俺の他にも居るだろ、お前の兄とかよ。」
むしろ兄妹の方が息も合ってやりやすいんじゃねぇか?と思い言ってみるがルビアは首を振る。
「ケビンマスクは…優しすぎる」
ルビアいわく
ケビンマスクは父親であるロビンマスクに反抗して悪行超人になったものの根本的には正義超人であり、優しすぎるから、とのことだ。
確かに俺から見ても甘い、と言うよりは根本的に悪行超人には向いてないとは思ってた。
だが待ってほしい、それなら正義超人の鑑とも言えるロビンマスクから直々に鍛えられたルビアはどうなんだ?
ルビアに問う。
「確かに私はダディから正義超人になるべくして鍛えられた。だけど私が教わったのはそれだけじゃない」
「…?どういう事だ?」
「スカーはバラクーダって分かる?」
「あぁ、確か…ロビンマスクがかつてキン肉マンに敗れ、打倒キン肉マン、としてウォーズマンを鍛えた時の…とは」
「そう、その時ウォーズマンさんはキン肉マンさんを倒すべく、『残虐超人』としてバラクーダに鍛えられた。そして私は、そのバラクーダとしてのロビンマスクからも…鍛えられているんだよ。」
体格も良くない、力もそんなにない、そんな私が守るべきモノを守らなければならない時に、正々堂々、正義だけでは太刀打ちできない時の、最後の奥の手を。
「つまり…」
「そう、私は正義超人でありながらも、正義を捨てた…いや、正義超人としては不合格でも守る為に拳を握る。それが出来るようにと鍛えられてきたし、私自身もそれを望んだ。」
肝心なモノを守れないよりは、と
「…マジかよ……」
「だからこそ、今回はスカーフェイス、貴方とタッグを組みたい。…悪行超人から正義超人になった今の貴方にこんな頼みは卑怯だと思ってる、侮辱してると思われても仕方が無い、だけど、それでも私は……」
あいつらをぶっ飛ばさないと気が済まない。
「目には目を歯には歯を、卑怯な奴らには、同じ手で沈ませる」
強く、攻撃的な光を宿すその瞳を見て俺は顔を引きつらせる。
「……お前本当に正義超人なんだよな?」
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この後2人は敵をめちゃくちゃボコボコにしました。
「裏表の正義」と若干繋がるところがあって、バラクーダの教えを活かすなら正直ケビンマスクよりスカーの方が相性良さそうだなと。あとケビンマスクはなんだかんだで優し過ぎると思いますしスカーもそうだと思います。
最近1番優しくないのは地味にルビアちゃんかもしれないと思い始めました。
ここまで閲覧ありがとうございました!