番外編

□裏表の正義
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「ダ、ダディ…?」

「ダディではない、バラクーダだ」

私は今何故か、コーナーポストに追い詰められている。
ダディ……ではなくバラクーダのダディに…

「えーと、じゃあバラクーダ?」

「なんだ」

「離してほしいなー…なんて…」

私は片腕を掴まれ、スキをついて逃げることも出来ない状態だ。
ちなみにリングのコーナーポストに追い詰められてるわ腕を掴まれてるわ傍から見れば完全に事案である。
誰かが来て誤解を生む前にこの状況を何とかしたい

「…」

な、なんで無言!?
急に黙ったダ…じゃない、バラクーダの顔を見るために見上げると、バラクーダは少し、泣きそうな顔をしていた。
昔はバラクーダ自体もマスクだったらしいが、私と訓練をする時は素顔に少し長めの金髪のウィッグを被っている。
その金髪から少しだけ除いたその顔に私は手を伸ばす

「…ルビア?」

「どうして泣きそうな顔をしてるの」

「私はそんな顔をしてたか」

「うん」

バラクーダの時の訓練はいつも以上に厳しくて、ダーティで、苦しいと思うことが多かった。
だけど、今日のバラクーダは一通り訓練を終えた私よりも辛く、苦しそうな顔をしていた。

「本当はこんなの間違っているのかもしれない」
「間違っている?何が?」
「お前に、このような正義超人にしては汚い戦い方を教え、あまつさえ訓練ではいつも以上に痛々しい姿をさせてしまっている。」

確かにバラクーダの訓練は真っ白なクリーンファイトではない。
純粋な正義だけで適わない、そんなもしもの時でも私が仲間を守るために、とバラクーダの姿になってまでダディは私に己が持っている知恵と技術を教えてくれている。
私は、それに感謝をしているし、間違っているとは思わない。
普段は口にしないけど、それをダディに伝えてみれば勢いよく顔を上げる。

「っ、ルビア…!!」

「いたたたたた!!!」

「す、すまない…!」

怪我はないか、とオロオロするバラクーダ姿のダディは新鮮だ。
さっきまで残虐ファイト一歩手前みたいなことをしていたのに。
その様子が少しおかしくて笑う。

「何を笑っているんだ」

「いや、その姿でそんなにも狼狽えるから…」

まだ少し笑いながらそう言うルビアにバラクーダは安堵する。
──この子なら、仲間を守るためにこの力を使えるだろう。

「本音としては、そんな日が来ないのが一番良いのだがな…」

「そうだね」

平和が一番だよ、と笑顔を見せるルビアに、このつかの間の平和な時間が続けばいいのにと願うバラクーダだった。



───────
時間軸的に二世本編より前のつもりなのでまだつかの間の平和です。
個人的にはバラクーダの姿で、あぁ…平和だな。って思って欲しいなと。
あとは平和だからこそ精神が安定してるバラクーダならルビアの特訓ができるのではと思ったり…
つまりはバラクーダが結構好きなので夢を見てます。夢だけに。
という冗談はさておき閲覧ありがとうございました!


 

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