孫小説

□◆魅《夜若×リク》裏なし(2010.3/3up)
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鉛筆を片手で廻しながら考える素振りを取ると黙ってこちらをみつめて僕の言葉を待っている。



『……じゃあ、土曜日と日曜日、僕の言うことをなんでも訊いてくれる?』

学校がない週末、たっぷりね…と意地悪く笑い、返事を待てば。


「わかった…。」


嫌がりも困まりもせず、少しほっとした顔をして夜は暗くなった浮世絵町にまた消えていってしまった。

夜が僕に向ける表情はころころかわる。そんな、ひとつひとつの表情に僕は魅せられる。

同じ者で同じでない存在…僕には無いものを持っている君。
もっと、見たくなる。


夜がでていった庭にクスクスと笑い声が静かに響く。
あの時、僕以外を抱くなんて嫌だったから自分の体を差し出した……のは本当なんだけど。







狂っている君も見たかったのも本当…。
正気に戻った君が傷つくのもわかっていた。


僕のことで傷ついている君を見たかったのも本当。






そして、とても魅せられた。


…って知ったら怒るだろうけど体を張ったかいはあったよ。



そろそろ君を楽にしてあげよう。
他の君も見たいから…。











今度はどんな君を魅せてくれる?


おわり


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