Novel

□ガラスの靴は必要です
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オレはあるお姫様に魔法をかけられた。

いきなり現れた、品のいい妖艶な子。

あいつはいったい何者なんだろう・・・。





夜中の1時。


あいつが逃げて1時間経った。


帰ってこない。


なんで。


忘れ物してんのに。


ナイフでガラスの靴を持ち上げた。


・・・小さい足。


ほんと可愛かった。


話してておもしろいし。


生意気だったけど、ずっと一緒にいたいって思えた。


こんな気持ち初めて。


エメラルド色の髪、それと同じ色の大きな瞳。


小さな手、少しやる気の無い声。


忘れられない。


あいつの手がかりといえばガラスの靴のみ。


この靴擦れしそうな靴で、姫を探そうってわけ。


顔見れば分かりそーだけどな。


あー好きすぎて病気になりそー。


王子死ぬー。


あ、本気にすんなって。


家来が慌てて部屋に入ってきたから追い出した。


王子が独り言とか・・・ありえねー。


でも、ガラスの靴があってよかった。


・・・あいつかたっぽ裸足で帰ったのか?


馬車があるから大丈夫か・・・。


つか、人間・・・だよな。


妖精とかだったらどうしよう。


ぼーっと城の外を見てみた。


ほとんどの人は寝ているのだろう、真っ暗だ。


舞踏会も強制終了させたし。


だってうぜーんだもん。


ケバイ格好しやがって。


王子あーいうのきらーい。


まったくきどってないあいつが一番なの。


あの謙虚さが好きなの。


明日になれば・・・また会えるかな。


もう一度あいつに会いたい、あいつの声を聴きたい。



今度は抱きしめてやりたい、柔らかいだろう唇に触れたい。



少しの期待を胸にオレは大きなベットで眠りに付いた。



ガラスの靴を握り締めて・・・。








次の日、本当に姫に会えた。


かわいいオレのお姫様、一生大事にしてやるよ。


やっぱりガラスの靴あってよかっただろ?

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