Novel

□ガラスの靴は要りません
1ページ/1ページ

12時の鐘がなる、ミーは夢から覚めた。



魔法が解けたのです。



でも、全ての魔法が解けたわけではなかった。



優しい妖精のおばさんはひとつだけプレゼントをくれた。



ガラスの靴。



でも、そんなものよりもミーは欲しいものがあるのです・・・。






薄暗いお屋敷のすみっこ。



そこがミーの部屋。



ねずみさんや小鳥さんがよく遊びに来る。



ぼろっちい部屋。



自慢と言えば綺麗なお城が見えるだけ。



今日ミーはそこへ行って、素敵な王子様に出会ったのです。



彼の事を町の人々はわがままですぐにナイフを投げる怖い人だと言っていたけど、実際は違いました。




ミーも会うまでは怖かったですよー?




だって、兄上をゴキブリと間違えて殺したとかなんとか・・・。



でも、ベル王子はとても優しい方でした。



上品な金色の髪、湖のように澄んでいる青い目、優しい笑顔。



彼の手のぬくもり、声・・・ミーは忘れることができません。



ガラスの靴をエプロンのぽっけから取り出した。



かたっぽ落としてしまったのが、くやしい。



もう王子様と会えないの?




お城は夜中なのにまだ白く輝いていた。




本当に夢だったのではないかと思うほど幸せでした。

あぁ、妖精さんもう一度王子様に会わせてください。




ミー悲しいです。




こんなことなら舞踏会になんて行かなきゃよかったなんて言ったら怒りますよね。




でも、でも・・・。




夢であえるだけでいいのです。




だからお願い・・・・。




ガラスの靴なんかいらない。


その代わりにもう一度、王子様に会わせてください。








次の日ガラスの靴をきっかけに王子様に会えるなんて思っても見なかった。


昨日のは取り消してくださいねー。


妖精のおばさん。





おわり。

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ