Novel

□衝動的1時間〜クリスマスver〜
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あと1時間でクリスマスが終わる・・・。







公園のベンチに座ってるオレたち。


フランは缶のコーンポタージュを飲んでる。


さっきレストランでたらふく食べたのによくまだ食べれるよな。


感心して見てると、先輩飲みたいんですかー?とはらぺこかえるは訊いてきた。


べつに、と言って時計を見た。


間接キスのチャンスだったのにー、と口を尖らせるフラン。



・・・あと50分。




あっけなくクリスマスは終了してしまう。


去年までは別になんとも思わなかったけど、今年は隣にこいつがいる。


終わってしまうのがもったいない気がしてしょうがない。



「せんぱーい、もうそろそろ帰りますよー。」


めんどくさそうにフランは立つとからっぽの缶をゴミ箱に投げた。


「もう帰るの?」


そうオレが聞くと、フランは風邪ひいちゃいますよ?と言って手を差し出した。


その手をとって、オレも立った。


恋人つなぎで夜のイタリアをゆっくり歩く。


雪の降らないクリスマス。




あと45分。




「なんか寂しいな・・・。」


ふと、らしくない言葉を口にしてしまった。


ちょっと後悔して、下をむいた。


「クリスマスもう終わっちゃいますもんねー。」


いつものように淡々とした口調のフラン。


でも、主語なくても分かってくれたことがなんかテレパシーみたいだな、とか思って少し嬉しかったり。


「あと、何分?」


「えーっと、43分くらい。」


「細けーな。」


「正確なほうがいいでしょー?」


「うん。」


「なんか先輩かわいいですね。」


「死ね。」


「なんでそんな事いうんですかー。」


「・・・。」


「今度は無視ですかー。ミー泣いちゃいますよ?」


「うっせ。勝手に泣いてろ。」



そう言うとうつむいて震えるフラン。


・・・え?マジで泣いてる??


「ちょ、フラン?ごめん言い過ぎた。」


「・・・嘘ですよー。」


にこっと笑いながら言う、カエル。


「ほんとお前・・・」


ムカツクって言おうとしたけど、


最後まで言葉が言えなかった。


フランに口を封じられたから。


あいつの唇がやっと離れた。


「先輩、ほんとツンデレですねー。もろAB型って感じ。」


ちょっと笑いながらフランは言った。


「お前さぁ、道の真ん中でキスしなくてもよくね?」


「ちゅーしたい時にちゅーするのがミーなんですー。」


「意味わかんねーし。」


ナイフをカエルに刺した。


「先輩そーいう嫌がらせはやめてくださーい。」


「これが王子の愛情表現なの。」


「趣味悪いですー。」


ナイフを道に捨てながらフランは言う。


「王子からのプレゼント捨てんなし。」


「えーこんなのいりませんー。・・・そういえば先輩欲しいものありますか?」


「うーん、もう貰ったからいらね。」


「えー、折角お金貯めたのに・・・。」


しゅんとフランは落ち込んだ。


「オレが欲しいもの金じゃ買えねーから。」


「・・・なんですか?お金で買えない欲しいもの。って。」


頭にいっぱいハテナマークを浮かばせるフランが可愛くって、


笑いながらこう言った。



「・・・お前だよ。フラン。」




一瞬時が止まった気がした。





「先輩がそんな事言ってくれるなんて、ミー嬉しいですー。先輩ミーの物になってくださいー。」



「お前がオレの物になれよ。」



そうナイフを刺すと、やだー、と抱きついてきた。



「先輩はミーのお嫁さんにするんですー。」


「お前はオレの姫になるんだろ?」


なんかムカムカしてきた。

フランはポンっと手をたたいて・・・

「・・・あ!いい事思いつきました!!先輩はミーの物、ミーは先輩の物って事じゃ駄目ですかー?」

と、言った。

なんか目が珍しく輝いてる。


ドキドキして、優しいふわふわした気持ちになった。


愛しいってこういう気持ち?




「しししっ、それならいいぜ。」






12時の鐘が鳴った。




クリスマスが終わる。




来年も一緒に過ごそうって誓いをこめて、今日はじめてのキスをした。



今年もあと少しで終わりだ。



きっと来年も、その先もオレはフラン色に染められていく・・・。





あるクリスマスの一時間の話。




ver.

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