Novel

□恋のダイヤル666
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貴方が好き、死ぬほど好き、この愛受け止めて欲しいんですー。






卒業式の一ヶ月以上前からミーは、決心していたのです。



大好きな先輩に告白しようと。



でも、人生なかなか上手くいくものではありません。



男らしく告白したいけど、ドキドキときめいて不可能に近いですー。



でも、他の奴に取られたくない。



・・・もう取られてたらどうしよう。



携帯を持つ手がふるえる。



指が上手く動かない。



あ、時報にかけちゃった・・・。



これで24回目。



先輩とミーは結ばれない運命なのでしょうか?



ロミオとジュリエットなのですか?



目の前のおうちの2階のベランダを見る。



・・・覚悟を決めてもう一度携帯のボタンをゆっくり押した。



呼び出し音。



無駄に長い気がしてドキドキする。



「もしもし。」



「あ、・・・アホ兄貴ですかー。フランですー。ベル先輩いますかー?」



「ん?アホの蛙じゃん。ベルならトイレだぜ?」



「あ、じゃあ、出てくるまでアホ兄貴と話してますー。」



「嘘だよ。つかアホ、アホうぜーよ。」



「本当のことだから仕方ありませんよー。さっさと先輩呼んでくださいー。」



「・・・分かった替わる。蛙がんばれよ。」



「・・・はい。」



森のくまさんが流れる。



あぁ、この曲が途切れた時、運命の時は来る。



ドキドキする。



あのアホ兄貴きっとミーが告白するって分かってる。



アホじゃなかった。



・・・やっぱり怖いですねー。



このまま電話を切ってしまいたい。



でも、今電話を切ってしまったらミーは一生後悔するでしょう。



あ、森のくまさんいい所で切れた。



「フラン?なに。いきなり電話してさ。」


「あ、あの・・・。」


「なーに?」


「・・・あの、先輩彼女とかいますー?」


「いねーけど。」


「ミーのお姫様になってくださいって言ったらどうしますー?」


「・・・別にいいけど」


「え?」


「・・・なんでもねーよ。で、なんなの?用無いなら切るぜ。」


「待ってください!」


「はいはい。」


「あの・・・さっきの本当ですー・・・。」


「・・・。」


「先輩がミーの事嫌いでも、ミーは先輩が大好きなんです・・・。」

・・・。

一瞬の沈黙。

その後先輩の笑い声が聞こえた。


「しししっ、ばっかじゃねーの。オレがフランのこと本気で嫌いなわけ無いじゃん。」

「あれ?先輩泣いてますー?」


「泣いてねーよ。」


「え、もろ泣いてるじゃないですかー。窓からみえてますー。」


前のおうちの2階のベランダをもう一度見ると、先輩がベランダに出てきた。



「・・・フラン!?」


ビックリしてる。


泣いてる先輩も可愛い。


「先輩、大好きですよ。」


短い人生の中でだけどきっと最高であろう笑顔で彼に想いを伝えた。


すると彼も今まで見せたことの無いような素敵な笑顔でオレも、と言った。









卒業式。


桜舞う校庭のすみ。


ミーは先輩から制服の第二ボタンをもらった。



先輩のほっぺは桜と同じうすぴんく色。


可愛いミーの先輩。


これから通う学校は違うけど、ずっと一緒ですからね。


・・・先輩をぎゅーっと抱きしめた。





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