novelle
□雪の降った空の下
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雪の降った空の下
「うわぁぁぁぁぁぁ……」
感嘆しか出ないようなあたり一面の雪景色を見ながら
林檎は声を上げる。
「真寛! 見てみて! こんな雪景色初めて!」
その様子に真寛は呆れかえり適当な返事を返す。
温暖化の所為で今年は
日本海よりじゃないこの地域にも雪が降った。
しかし生まれて初めてこんな綺麗な雪景色を目にしたのに、心躍らない訳がない。
「雪合戦しよ!」
いつの間にか真寛も林檎のペースに乗せられる。
幼い林檎のペースに――。
真寛は苦笑いで林檎に付いていく。
「林檎! 俺忙しいんだけど……」
いいのいいの、と真寛の言い分など碌に聞かず
こうと決めたことは最後までやり通す。
それが、林檎の性格。
それに伴い周りが見えなくなるところも。
だけど、そこに真寛は惚れた。
自業自得だ、と自分に言い聞かせ青く澄んだ空の下、
林檎に引き摺られながらも後悔する真寛であった……――
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