禁恋企画(´∀`* )!
□禁恋企画第4弾!
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足がずきずきと痛む。
その足を半ば引きずりながら馬小屋の扉をそっと閉めた。
この時間帯に誰かいないか不安に思ったが杞憂だったらしい。
しかし、今こそいてほしかった。
公務に飽きたルズは白昼から抜け出し気晴らしにひとり馬を駆って山の麓まで行って来たのだ。
抜け出したときは必ず市場に顔を出し物価の変動を見ているのだが、そうしようと馬を降りようとしたときだった。
誤って馬の尻にかかとが当たってしまい、驚いた馬は暴れて、落ちてしまったのだ。
着地に失敗したのか足をひねって、市場にゆっくり顔を出すこともできず、今に至る。
この年での失態に腹が立つ。
部屋に戻るのに一番近い中庭を宮廷の廊下に立っている柱を支えに通ろうとしたとき、笛の音が彼の耳に入ってきた。
ゆっくりだが、丁寧で透明感のある音色。
足の痛みなど忘れ、立ち止まってしまった。
近々、父――現皇帝が巷で有名な楽人を招くと言っていたような。
「……。」
曲が終わったのだろうか、音(ネ)が止んだ。
それと同時に、ルズも我に返る。
そうだ、部屋に戻らなくては、と歩き出した直後だった。
「けがをしてるの!?」
足を引きずる音に気がついたのか、笛の音の主が駆け寄ってきた。
遠目に見るより、寄ってきた彼女は背はルズより低いものの大人らしく、年上に見えた。
「ちょっと見せて」
あまりに突然のことだったので言葉も出ないルズに彼女は返答も待たずにしゃがみ、ルズの裾をあげてしまう。
彼女も、ルズも目を見張った。
彼女の行動に対してではなくルズの足だ。
今も鋭い痛みが走るそこは、青黒く変色し内で出血しているのが目に見えた。
「どうしてここまで放っていたの!! 誰か呼んだら来てくれたでしょうに……」