頼れる姉貴は副船長!! U
□第49話
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「おいおいキイチ、今から俺に殺されるかもしれねぇってのに何笑ってんだ?」
「黙れっつっただろ、ティーチ」
ティーチから目を離さず、赤犬から意識を離さず、喧騒から耳を離さず。運が良ければ、この一撃でもしかしたら全部終わらせることもできるかもしれないのだ。集中して取り組まなくてはいけない。だが、途中で攻撃されては技が中途半端になってしまう。だから、
――ガッ!!
「「!」」
『阿修羅』を抜き、正面にいるティーチと赤犬の二人と俺の間を遮るように足元へ突き刺す。
それにティーチと赤犬が警戒したように身を強張らせた。…まだ、何もしねぇよ。
―――パンッ!!! ぐ……っ!
「「?」」
次に、両手を合わせ足を踏ん張るようにして力を入れる。
俺の行動に二人が怪訝そうな顔をした。
全意識を下へ――――海へと集中させる。
「マルコ!エース!オヤジ!それと、その他諸々能力者達!!ちぃっとばかし手荒になるが悪く思わないでくれよ!!」
叫んで、周りにいた白ひげ海賊団の奴らは弾かれたようにこちらを見た。俺が何をするのか分かったのか、特定の人間を囲むようにしてクルー達が集まる。
…ドクン、!
海が、まるで鼓動するように揺れた。
それをに気付いたティーチと赤犬が、漸く俺が何をしようとしているのか分かったようで、俺に攻撃をするべくこちらへ向かってくる。
ティーチの闇色をした掌と赤犬の溶岩になった拳が近付いてきて、俺に触れるまであと3センチ、2センチ、1センチ………――
「阿修羅!」
『分かってる!』
俺が呼びかければ、足元に刺さっていた『阿修羅』が刀から人間へと変化し、手刀でティーチの掌斬り付け、赤犬の溶岩を真っ二つにした。突然現れた阿修羅に目を見開く二人。
人間になっても阿修羅は刀。手刀なのにまるで刀に斬られたかのように深く、水平な傷跡に二人が僅かに怯む。その隙に俺は更に海への意識を集中させた。
「(俺の血は…少しは流れているが、これだけの人数だったら足りないな。モビーの位置は――あそこだな。白ひげのクルー達は……―――)」
ちらりと横目で確認する。間違ってもモビーに海軍を乗せるわけにはいかない。だが、海軍もクルー達も疎らにいるために少しは紛れ込んでしまう可能性もある。
「(…まぁ、その時はその時か。頼んだぞ、阿形、吽形)」
モビーに居るであろう『阿形』と『吽形』。その二本の刀は今、モビーのためにそれぞれ精一杯力を使っているはず。この戦禍から、モビーを護るために。それでも、傷付き、疲労しているであろうクルー達のためを思ったらあいつらを酷使せざるを得ないのだろう。すまない、と一言呟き腕をバッ!と広げ、掌を上へと向けた。
「ティーチ、赤犬。初めに言っておくぞ。
俺が、この技使うのは正直初めてに近い。
うっかり殺しちまったら悪いな」
言外に、加減は出来ないと伝えれば固まっていたティーチも赤犬も顔色を変える。
大きく揺れていた海が、一瞬止まった。
…いや、止まったのではない。
「――なぁ、知ってたか?津波ってのは、発生してからこっちにくるまで少し時間がかかるんだぜ?」
「「!!!!」」
――ザザザァァアアアアア……ッ!!!!
「くらえ……っ!!
『大津波』!!!!」
外壁など容易く超えた大きな津波が、マリージョアを襲った。
紅混じる津波
(俺の血がこの波に流されて)
(傷ついた奴らを少しでも癒せるように)
(そう願いを込めて)
(波が集まる中心で俺は)
(手首を掻っ切った)
*・*・*・*・*
ははは、もうなにこれ←
作者が話の展開が読めないってどういうことですかね^q^
久し振りすぎて何を書きたくなったのかすら分からなくなってるところもあるしね…ふふふ、この続きはどうしようかなぁ(遠い目)
というか…震災(災害?)の事もあったし、本当はこの回を載せようかどうか本気で迷いました。
技名とか最初『大災害』でしたよ。洒落にならんわ俺の馬鹿。
気分を害された方がいたら本当にすみません…。
わけが分からないよ!という人のためにちょっと説明をば↓
・『阿形』『吽形』はモビーにいる。キイチのところには『阿修羅』のみ。
・キイチが『大津波』を使うのは初めてに近いって言ったのは、前にやってみようとしたら制御しきれなかったため、もう使わないようにしていたから。
・キイチが最後に手首を掻っ切ったのは、海水に血を混ぜて、それで流された皆をその血の治癒能力で治そうと思ったから。
…と、まぁこんな感じです。
まだ分からないよ!という方がいましたら……感じ取ってください!(←何を!?)