頼れる姉貴は副船長!! U

□第47話
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――ザリッ


「?…貴様、自分の持ち場はどうした」



ふと俺の右隣に居た処刑執行人が後ろを振り返る。その視線を辿れば、戦場にいる海兵と同じ格好をした男が一人。その男はゆっくりと一歩ずつこちらへと向かってくる。

帽子を脱いで現れた紺色の髪に、胸ポケットから取り出したバンダナを巻いた"海兵"は、緩慢な動作で鎖鎌の鎖分銅を回し始めた。



「………俺の持ち場は、」


「、きさ…っ!?」


「"此処"だ!!」



男が投げた鎖分銅が俺の右隣にいた処刑執行人をぶっ飛ばした。もう一人の処刑執行人は慌てて行動に移そうとするが、男が放った鎖分銅を勢いよく横に引いたため、反動で戻ってきた鎖分銅にぶち当たって倒れた。



「…あー、そろそろこれ脱いでいいですかね。俺、海兵の格好大ッ嫌いなんで」


「………お前、」



突然の出来事に周りの海兵も俺も頭がついていかない。ぶちぶちと引き千切るように服を脱ぎ捨てていき、海兵の服を全て脱いで本来の服装に戻った男は俺の目の前で跪いた。



「迎えに来ました、お姫様?」


「……似合ってねぇよ、馬鹿」



俺の言葉に、ニッ!と笑ったセツ。瞬間、俺を縛っていた海楼石の鎖がバラけた。



「いやー、久しぶりに得物を持ったんでちょっと緊張しますね」


「…傷は治したんだろうな」


「当たり前です!全部気力で治してみせましたよ!!」


「つまりまだ治りきってないんだな」


「……」



無言で俺を抱き上げたセツの服から覗く包帯が痛々しい。馬鹿が、治ってないなら無理すんな。と言えば姉さんの一大事に一人だけ寝て待ってられますか、と返された。



「しっかり掴まっててくださいね、姉さん」


「………っち、仕方ないな」


「こんな時までツンツンなんですか!?」



舌打ちしない!と騒ぐセツ。だが、それまでの間に俺の周りにいた海兵達を全て捻じ伏せている。これでも特攻隊副隊長、といったところか。



「行きますねー!」



鎖分銅を振り回し、比較的戦渦が少ないところの鉄塔へと引っ掛けた。そのまま走り出すセツとその腕に抱かれた俺。セツはじじいを無視することにしらたしい。目もくれず処刑台から飛び降りた。センゴクが手を出してこないのはおかしいと視線を彷徨わせたら、ここからは離れてるところで海兵に指示を出していた。おい、罪人逃げるぞ。それでいいのか海軍。



「………」



セツの腕の中で風を感じている時、処刑台を振り返ったらじじいと目が合った気がした。











「おい、ガープ!!何をしている!?」


「あー……すまん、寝とった」


「はああああ!?」




≡≡≡≡≡≡




「よし、ここから真っ直ぐ行けばモビーディック号に着きます!!」



無事地面に着地したセツとキイチ。まだ体調が万全ではないだろうキイチをしっかりと腕に抱きながらセツは走り出した。時折、邪魔してくる海兵達を返り討ちにしながら。



「気分はどうですか?」


「…良いと思うか?」


「……すいません」



質問を質問で返され苦笑いで答えるセツ。しかしその表情も一瞬で真剣な顔へ変わった。



「では、感覚は?」



その質問にキイチは目を見開いた。



「…知ってたのか?」


「…以前、オヤジと隊長が話していたのを聞いてしまいました。すいません」


「…馬鹿が」


「すいません。…それで?」


「…刀くらいは握れる」


「……まさか、触覚しかないんですか?」


「…目も耳もはっきりとはしないがまだ大丈夫だ。だが……痛覚は完全に無い」



あの研究者共め、変な薬盛りやがってと悪態を吐いたキイチ。未だ血が滴っている手を握ったり開いたりしているが、痛みが走っているような様子はない。



「ついでに言うと再生能力もほぼ無くなってるな。腕も腹も傷が塞がらない」



じわりとキイチが着ていた布にまた血が染みる。それを見てセツは顔を歪めた。



「早く治療をしないと……」


「その前にこの戦争をどうにかしねぇと駄目だろ」


「そうですけど…!」



キイチの視線の先にあるのは、この戦争で最も戦渦が激しいであろう場所。エースも白ひげもまだキイチが救出されたことに気付いてないらしく、横から加わったルフィと協力して赤犬と戦闘を繰り広げていた。

ふ、と。ルフィの視線が下を向いた。まるで何かを落としたかのように。



「――」


「? どうしました?隊長」


「…嫌な予感がする」


「は、?」



キイチが言葉を発するや否や、赤犬のマグマの拳がルフィへと向けられた。白ひげとエースが驚愕した表情を浮かべる。



「なっ!?」


「ルフィ!!!!」



間一髪のところでエースがルフィを庇うように素早く前へ出る。マグマの拳がエースの背中を貫く、と誰もが思った。













「…俺の、弟に…ゲホッ……何、してやがんだ…っ!!」












キイチがエースと赤犬の拳の隙間へ身体を滑り込ませるまでは。













一瞬だけ止んだ戦渦


(((キイチ……ッ!!?)))





*・*・*・*・*

KYU TEN KAI☆(急展開☆)←
一応予告(?)はしてましたがここまで急展開過ぎるともはや苦笑いすら出ねぇ……orz

例の如くこんな駄文になってしまったことを非常に申し訳なく思いまする(´・ω・`)

どうしたらいいんだろうね。どうやってもいきなり話がガッッ!!としか進まないんだけど(泣)

もうちょっとさ、ゆっくりじわじわ攻めるような感じに進むことができないのかね俺の文章よ。

友達に助言を貰って、一応書き直したりしたんですけど俺にはこれが精一杯でしたよ。ゲフッ(吐血)
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