頼れる姉貴は副船長!! U

□第45話
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誰も声を発することなく、手に持っていた物を握り潰した。視界の右端にいる末っ子なんかはそれを一瞬で炭へと変えてしまっていた。

ここに集まっている全員から強い覇気やら殺気やらが漏れ出す。勿論、自分も例外ではない。俺達の前に座っている父親でさえ、今にも得物を振り下ろしそうな程に殺気立っているのを感じる。

怒りと苛立ちがどんどん積み重なる。このままでは目に付いた誰かを死ぬまで殴ってしまいそうで、顔を俯かせたまま誰と目を合わせることもなく船の端まで歩く。

キラリ、と何かが海の向こうで光ったのが見えた。その正体は直ぐに分かった。

――俺等の動きを監視する、海軍船。



「……オヤジ」



身体から溢れ出す覇気と殺気が止まらない。睨むようにオヤジを見上げる。オヤジも、俺と同じものを見たようだ。先刻より覇気が増していた。



「……あァ、好きにしな」


「…悪い、」



腕を広げ、俺だけしか使えない能力を使う。此処に来ても嫌いだと思い続けてた能力。誰に何と言われようとも俺はこの能力が嫌いだった。けど、キイチは綺麗だと言ってくれたんだ。海みたいだ、と。『俺と、お揃いだな』と笑ってくれた。キイチのお蔭で嫌いだったこの能力が悪くないと思ったんだ。

それを、お前等は、



「っ!?不死鳥のマルコ!!何故此処に!?」


「……、ら…………」


「大尉!は、早くこちらに、ッ」


「………えら、……な……」


「全員、戦闘準備!!」


「…お前等……




楽に死ねると思うなアアアアアア!!



キイチがお前等に何をしたっていうんだ!

お前等はキイチの何を知ってるっていうんだ!

キイチはただ自分の生きたいままに生きてただけじゃねぇか!

何でキイチなんだ!

何でキイチじゃないといけないんだ!

言ってみろよ、その汚い口で!


海兵達を殴る手を止めずに叫んだ。手当たり次第に壊した。平然と俺等の監視を続けるこいつ等も、キイチを悪者だと決め付ける海軍も、ぶっ潰さないと気が済まなかった。

びしゃりと顔に血が飛んだ。それでも俺の勢いが止まる事はなかった。寧ろ更に怒りが沸いた。



「お前等でも、赤い血が流れてたんだな」



我ながら酷く冷めた声だと思った。また一人死んだ。足元で命乞いするように紡がれていたか細い声もいつの間にか止んでいた。踏み潰しでもしたのか、まぁそんなことどうでもいい。いつの間にか船が傾き出してた。まだ全員殴り殺してねェってのに。脆い船だなと鼻で嗤った。

今俺が胸倉を掴んでいた、この船で一番偉そうな格好をした男を引き寄せて、既に虫の息であろうこいつに向けて言い放った。



「上の奴等に伝えろ。










命一つで済むと思うなよ、ってなァ」


(俺の後ろで赤い火柱が上がるのが見えた)
(その次に船が弾け飛ぶような音も聞こえた)
(あの二人も派手にやっているな、と笑った)


(この日、俺等を監視していた海軍船23隻全てが海の藻屑となった)







*・*・*・*・*

我を忘れたら語尾も忘れるのではないかと思ったらこうなった^q^
マルコもエースもオヤジもぶちギレてます。

久しぶりなのに短くてすいません(´・ω・`)

さてさて、この後はどうやって話を繋げればいいのかな。(←え)
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