頼れる姉貴は副船長!! U
□第44話
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――インペルダウン LEVEL6
カツリ、カツリ。牢獄に響く足音に閉じていた目をふと開ける。暫くして檻の前に現れたのは白衣を着た男だった。そこで疑問が浮かぶ。
白衣――つまり、医者もしくは科学者などといった者達が着るものだ。何故この牢獄に白衣の男が?
「……惜しいなぁ、NO,19786を手放すのは」
男が口を開いたかと思えば、この牢獄に相応しくない、驚くほど楽しそうな明るいが響いた。今更ながら、白衣の男が何かを抱えているのに初めて気付く。
それは赤黒く汚れていた。元は白い布だったのか所々白い部分もあるが、大半は血のようなどす黒い色に侵食されていた。それが薄らと白い煙らしきものを上げていることも不思議に思ったが、それ以上にその抱えられていた物がはっきりと見えた時の驚きの方が勝った。
「(キイチ、さん……!?)」
何故、彼女が。白ひげの副船長で、特攻隊の隊長で、いつも強気で、勝気で、誰よりも強く、男らしく、そして誰よりも心優しいキイチさんが!何故、何故、何故…!?
ぐるぐると疑問ばかりが頭を巡る。男はその間にもキイチさんを檻の中に投げ捨てるように放り込んだ。キイチさんは気絶しているのか、反応が全くない。
「…ぅ、―――げ、ほっ!!」
キイチさん!と叫ぼうにも身体が悲鳴を上げて、唸り声しか出なかった。寧ろ、叫ぼうとした事で喉の奥に引っ掛かっていた血がまた出てきた。だが、わしが咳をした事によって白衣の男はこちらを見る。
「…?あぁ、君は魚人か。名前は―――…忘れちゃった。ま、僕はNO,19786以外には興味ないからね。君はイラナイよ」
残念だけど。と楽しそうに語る声は先程と同じくとても明るい。何故か背筋に冷や汗が伝った。それに、目の前の男が口にしたNO,19786とは何だ?
「……おい、」
ふと、奥の牢屋から低い声が聞こえた。声をかけたのは恐らく鍵爪を持つあの男。
「テメェ、そいつに何しやがった」
冷静沈着なあの男にしては珍しく焦燥を滲ませた声色だった。白衣の男を睨む目には薄らと殺意が混じっている。
「んー?君は…確か、ク…クロ…?……あー、何だっけ」
「…俺の事はいい。答えろ、キイチに何をしやがった」
「キイチってNO,19786のこと?あぁ、そういやキイチって名前だったね。忘れてたよ。いつも研究体ナンバーで呼んでたから」
「俺の質問に答えろ!」
ガン!!奴の鍵爪が檻に叩き付けられる音がした。それを見て白衣の男はニマニマと口を歪ませる。
「NO,19786は俺達の研究体だよ」
「…は…?」
「NO,19786はね。政府のための人体実験の最初の成功例なんだよ」
「……人体、実験」
「そう。怪我をしてもすぐに治る。腕が切り落とされても、足が吹き飛ばされても、1分足らずですぐに再生できる。政府はそんな人間を使って何をしようとすると思う?」
「………戦争か」
「怖いよねぇ、何でもかんでも力任せにすればいいってもんでもないのに。流石に不死の軍団とまではいかないにしても、傷がすぐに治れば戦争では十二分に役立つってことで政府はその研究の許可をあっさり出したよ」
「…………」
「もちろん人間をそんな風にするなんて至難の業だったよ!最初は人間の方が薬に耐えられずばったばった死んでいった!研究体が一万五千体を越えたところで諦めかけたよ!!でもね!NO,19786はその実験に成功したんだ!初めて!!今までどうやってもそれらしい結果が残せなかった実験が、NO,19786の時に初めて成功したんだ!!」
突然、白衣の男は楽しそうに、まるで母親に100点のテストを自慢する子供のように語り出した。
「NO,19786はね、とても珍しい研究体だったんだ!!父親の事もだけど、アルビノでもないのに目が赤かったりさ、女にしては運動能力もそこらの男より遥かに高い!!こんな珍しい研究体、この世界を探して100体いるかどうか分からないよ!!僕等は運が良かった!!」
「……」
「身長、体重、視力、性別、血液、髪の色、瞳の色…!色んな条件がNO,19786だけ揃っていたんだと思うんだ!僕は!!だから要らなかった研究体をNO,19786に似せて、あらゆる条件で試してみたんだ!!でも、どいつも不細工で中途半端な結果しか残せなかった!!しかも、それ以上の実験はNO,19786以外の奴等では耐えられ無かった!!NO,19786しかあの実験に耐えられない!!NO,19786じゃなくちゃこれ以上の結果を出す事は出来ないんだ!!」
「……」
「…ま、今回はそんなNO,19786を処刑するとかそんな話が出てるから、仕方なくNO,19786を手放すことにしたけどね。これ以上の実験結果を出そうにも、NO,19786がいないんじゃもう出来ないのに。本当に勿体無い…こんな素晴らしい研究体、他にいないのになぁ。殺した事にして僕等にくれないかなぁ!ぐっちゃぐちゃのどろどろになるまでNO,19786を調べたかったのになぁ…!!」
檻の中に倒れこんでるキイチさんに近付く白衣の男。キイチさんに触れる手は恋人に触れるかのように酷く甘く、優しい。だが、キイチさんを見る目だけは狂気に満ち溢れている。人を、人として見ていない。狂った目。
「……屑だな、お前等」
「…いひひっ。それ、最高の褒め言葉」
クロコダイルの言葉に、白衣の男は口角を高く上げた。そして、ゆらりと立ち上がって檻から出て行く。わしはその背中に向かって叫ぶように問うた。
「待、て…!貴様は、一体何者だ……!?」
「僕?僕はただの研究者だよ。NO,19786専用の、だけどね」
男は白衣のポケットから出した真っ赤な縁の眼鏡をかけて振り返る。突如、胡散臭い程にこやかだった顔が一気に無表情になった。
「NO,19786が目を覚ましたら伝えといてよ。
あの部屋から出たって、君の居場所はあそこ以外に無いんだよ、化け物。って」
白衣の研究者
(未だ目を開けない彼女は一体何を思っているのか)
*・*・*・*・*
はっはっは!意味分からん!←
書こうとしていた話の流れを無視して勝手にキャラたちが動くんですけどどうしたらいいですかね!!(知るか)
あっれー、最初はジンベエ視点になるつもりは微塵もなかったのに何でこうなった。(だから知るか)
そういや研究体と実験体、どっちで表記すればいいんだろう(←今更!?)
それよりも。だらだらと文章が続いてるので読みにくいですよね、すいませんm(__)m
つーか白衣さん、NO,19786言いすぎですよ。(←お前が言うな)
話がワケ分からん!という人のために話をまとめてみると、
・キイチは実験で傷が治る身体になった。
・その実験は、政府がもし戦争が起こった時のために兵士達にどんな傷でも治る身体にさせようと思って許可したものだった。
・その実験に耐えられる研究体は殆どいなかった。
・キイチは何故かその実験に耐える事が出来た。
・白衣の男はよく分からん。(←え!?)
………みたいな?
分かりにくくてすいません(´・ω・`)