頼れる姉貴は副船長!!

□第37話
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「キイチ、いつになったら俺のところに嫁ぐつもりだッポー」


「いつまでたっても嫁ぐつもりはないから」


「何を言っておるんじゃルッチ!!キイチはわしの嫁になるんじゃ!!」


「ならないって」


「お、お前ら何破廉恥な事言ってんだよ!!」


「だから何でパウリーは赤くなるんだ」


「………」



鳩、角っ鼻、オールバック。
恐らくキイチが会いに来たのはこいつらのことだろう。

しかしいくらキイチが会いに来たとは言え他の男に引っ張りまわされているのを見るのは面白くないもので、



「キイチ…」


「ん?どうしたエース」


「………いや、」


「?」



話しかけたはいいが何を言えばいいのか分からなくて黙っていたら、キイチの隣にいた角っ鼻が俺の方を見た。



「おぉ!こやつがキイチの弟かの?」


「あぁ、あの時の電話の声の奴か」


「クルッポー!あの時声と同じだな」


「…電話?」


「ほら、俺が前ウォーターセブンに行った時に電話したろ」


「あー、あの時の」


「…覚えてたのか」


「あれ、俺馬鹿にしてる!?」



意外だ。と言いたそうにきょとんとした顔で瞬きをするキイチ。可愛い…いやそうじゃなくて。



「あん時はとにかくキイチに帰ってきて欲しかったからなー」


「ンマー、俺の電伝虫があんだけ目をかっ開いて叫んだのは初めてだったぞ」


「「「(恐るべしシスコン)」」」


「全く、お前は声がでかいんだからそこはちゃんと調節しろって言ってるだろ」


「「「(そこか!?)」」」


「だってキイチが心配だったんだもん」


「『もん』とか言うなキモイ」


「酷い!!」



眉間に物凄く皺を寄せて俺を睨んだキイチ。マジでめっちゃ嫌そうな顔をしている。そんな顔しなくても!!



「とりあえず俺はこいつらと話をするからエースは先に進んでろ。後から追いかけるから」


「えー」


「今日中に次の島に着いてたらご褒美やるから」


「行ってきます!!」


「「「(早っ!!)」」」




≡≡≡≡≡≡




嵐のように過ぎ去ったエースはさておき、キイチとその他3名(←おい!)はブルーノの酒場に場所を変えて話をしていた。ちなみにアイスバーグは般若の形相をしたカリファに引き摺られていった。



「…そうか、白ひげの船で仲間殺しをした奴が…」


「いや、正確には『しようとした』だ。俺がギリギリで止めた」


「…なるほどッポー」


「それで俺とエースががそいつを追ってるんだが…」


「そいつの情報が欲しいのか?」


「いや、情報はもう貰ってるからいい。俺が話をしにきたのはもうひとりの弟の事だ」


「弟?」


「あのエースのことじゃないのか?」


「ん、エースの事じゃなくて末っ子のこと」


「末っ子…?」


「そいつも海賊をしてるんだ。多分そのうちここにも来るだろうと思って」


「キイチの弟なら大丈夫じゃと思うんじゃが…いや、分からんのう」


「どういう意味だカク」


「そうか、そいつが俺の義弟になるのか」


「ならないから。とりあえずルッチは黙ってろ」



当たり前のようにするりと腰に手を回してくるルッチを拳で床に沈めたキイチ。そしてそのまま平然と言葉を続ける。



「…俺の弟達は無茶ばっかするからな。お前らにも色々と迷惑をかけるはめになるだろうから、一応今言っておこうと思って」


「……」


「…クルッポー」


「…あいつ、な。馬鹿みたいに真っ直ぐなんだ。理屈とか、世論だとかは全て無視して突っ走ってくんだよ」



キイチはその末っ子を思い出しているのか、苦く笑ってはいるがその隻眼には優しい光が宿っている。



「でも、仲間の事も凄く大切に想ってるし、心は優しい奴なんだ。……ま、たまに奇天烈な事をするがな」


「……」


「だから、お前らにも無茶言ったり阿呆みたいな事するだろうけど、それがあいつなんだって分かってやって欲しい」


「……」


「いつかあいつがここに来たら、よろしくしてやってくれ」


「そりゃあ俺の未来の義弟なんだからな」


「あれ、俺黙ってろって言ったよなルッチ」


「ツンデレか?ふふ…キイチの愛はしかと受け取ぐふぁ!!」


「「(あーあ)」」



先程までの雰囲気は何処へ行ったのか。ルッチのおかげで全てにおいてかき消されてしまった。そしてキイチは苛立った顔を隠さずにルッチにアッパーをぶちかました。



「……はぁ、」


「なぁキイチ、その弟の名前教えてくれよ」


「そうじゃそうじゃ。名前が分からんかったらいくらキイチの弟とはいえ誰だか分からんじゃろ」


「よーしカク、歯ァ食いしばれ」


「何故じゃ!?」


「さっきまでのお前の言葉を振り返れ」



あわあわと慌てるカクの額にデコピンをするキイチ。よほど痛かったのか、カクは額を押さえて悶絶している。



「ず、ズドンて…デコピンの音じゃないじゃろ…!!ぐぬぉおお……!!」


「(どんだけ強くデコピンされたんだよ…)」


「パウリー」


「んぁ?」


「またどっか案内してくれないか?今日は少しだけゆっくりできそうだからな」



そう言って海の方に視線を向けたキイチの顔は、それはそれは穏やかだったそうだ。


















「へっぶし!…んー?風邪かぁ?」


「いたぞ!火拳のエースだ!!」


「うげっ!!見つかった!」


「待てー!!」


「嫌だー!また海軍に追われてるってキイチにバレたらぶっ殺されるだろうがー!!」















「……はは、あいつまた海軍に追われてたりしてんだろうな…」


「(何か悟ったような顔してる…)…ほら、キイチ。アップルパイでも食いに行くぞ」


「! 行くっ!!」


「待てキイチ。その笑顔をこの目に焼き付けるからこちらを向ぶふぉっ!!」


「学習しろよ屑が」


「ふっ、恥ずかしがり屋さんめ…」


「キモイから」









学習能力は身に付けよう
(じゃないと身が持たないよ。特にルッチ)


(むぐむぐ…)
(美味いかキイチ?)
(ん!)こくん
((可愛いなー))でれっ

(ふふふ、可愛いなキイチ…)カシャ
(ルッチ、見つかったらまたアッパーを食らわされるぞ)
(む、パウリーめ。邪魔だそこを退ぶへっ!)←カップを投げられた
(話を聞かんからじゃ)






*・*・*・*・*


お久しぶりです!!(o-_-)=o3`)グフッ

いい加減更新しないとまずいと思ってスランプな頭を捻り潰すつもりで(←)頑張りました!

しかし進展がないという……!(机ダンッ)

つ、次!次で話は大分進展する……は、はず。
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